パリ・ファッション・ウィークで発表された、ヴィヴィアン・ウエストウッド ゴールドレーベル(Vivienne Westwood Gold Label)の2015-16年秋冬コレクション。
「UNISEX」「TIME TO ACT!」。手元に届いたショーの招待状には、そうした文字が並んでいた。パンクカルチャーのはしりとして、これまで服とともに社会的メッセージを発信してきたヴィヴィアン。どうやら今回も、メッセージ性の強いショーになることは間違いなさそうだ。天井から大量のメタリックテープが吊り下げられた、異常なまでにきらびやかな装飾。そして、大人数が地下に押し込められた時特有の閉塞感、それに由来する一体感。会場に足を踏み入れた時感じた、そんな独特の雰囲気もまた、革命の予感を、一層強いものにする。
パンクバンド「DIE HARTJUNGS」による暴力的なまでのシャウトとハウリングの効いた生演奏が、ショーの幕開けを告げた。すると早くもファーストルックが「UNISEX」の言葉とリンクする。ランウェイに現れたのは、肩幅が広く、くびれをなくしたジャケットを着た女性モデル。ジャケットはいかにもメンズらしいシルエットで、生地には花柄の織りが入っている。続いて、ウエストマークされたドレスをまとった男性モデルが登場。その時、コレクションに込められた、コンセプトへの理解が開けた。
ショーでは、男女それぞれのモデルたちが、一般にはメンズの衣服とされているもの、ウィメンズの衣服とされているものを区別なくまとっている。そのため時々、本来のモデルの性別すら見失いそうになる。例えば、オーバーサイズのガウンやボックスシルエットのジャケットは、男女両方が着ているし、大ぶりの花柄のアイテムや不自然なまでの高さを出したハットも、違わずそうだ。さらには、肩の張り出したジャケットにピンヒールなど、ジェンダーミックスなコーディネートも目立つ。
そしてそれこそが、ヴィヴィアンの狙いだったのではないだろうか。つまり、単にメンズがウィメンズを、ウィメンズがメンズをということではなく、性別という枠組み自体を取り払うこと。
終盤、そんなメッセージ性にだめ押しするかのように、ドレスの裾を旗のように掲げるモデルたちが登場した。そしてラスト。白いジャケットにショートパンツを着た女と、白いドレスにスラックスを合わせた男のカップルが、颯爽とランウェイをウォーキング。その後、愛の誓いを交わした。まるでこれから、何かが始まっていく印であるかのように。