2010年11月、ブランド設立20周年を目前に控えたスイスのラグジュアリーウォッチブランド・フランクミュラー(FRANK MULLER)の創設者であるフランク・ミュラーが来日し、東京ミッドタウンのリステアにて記念イベントが行われた。
店内中央には、ミラーボールを中心としてまわるガラスケースに同ブランドのウォッチコレクションが数多く展示され、きらびやかな輝きを放つ。壁側には人気シリーズであるカラー・ドリームスを彷彿とさせるカラフルな数字プリントを施したノートパソコンやクッションといったインテリアグッズも展示されており、来場客を楽しませた。
多くの人でごった返し、会場が盛り上がる最中、フランク・ミュラーが登場。「このような素敵なお店で、素敵なものが大好きなみなさまと一夜を共にできるのをとてもうれしく思います。」と上機嫌に語った。
パーティー訪問者との交流の合間をぬって、デザイナーフランク・ミュラーの単独インタビューに成功。
まず、ブランド設立20周年を目前に控えた今、これまでの過去を振り返って頂いた。
「時間をなりわいにして、時のうつろいや世代の変化を感じることはとても面白です。しかし昔に比べ、今日はインターネットなど技術革新が進み、何事もスピーディに過ぎていきすぎるようにも感じます。今の若い世代の人々は昔よりも、自分のアイデンティティを抱きにくいのではないでしょうか。」と少し憂いがちに語った。
続けて、これからの”時計”の価値について、「どのような物であっても時代とともにその価値は変化します。時計も例外ではないでしょう。事実そうでしたから。しかし目まぐるしく変化していく今日だからこそ、自分が歴史上の一点にいると見極める部分で時計の存在は大切になってくるでしょう。」と話した。
では、「どのような人にフランク ミュラーの時計を身につけてほしいのか?」との問いに、彼は実直に次のように話した。
「これまで私は人々に、時間に対する固定概念から抜け出し、もっと広い考え方を提案すべく、様々なアプローチで時計を作ってきました。時計は生き様の証となります。フランクミュラーの時計を身につける人にはどんどん新しい概念で時間をとらえていって欲しいのです。」
数多くのマスターピースの修復作業を行い、独創的な複雑時計により天才時計師の名を欲しいままにしてきたフランク・ミュラー。発言の節々から時計職人として、誰よりも「時間という概念」を重んじ、自身の哲学を構築させていることが伺える。
ブランド創設20周年については、「実は大した節目ではないと考えているんです。幸運にも私はまだ自分が若いと思ってますからね。」とにこやかに答え、まだまだ過去を振り返らず、先を見据えた姿勢だ。
自ら編み出しだ高度な技術を継承しつつ、革新的なデザインの時計を発表し続けるブランド”フランク ミュラー”。その勢いはこれからも止まりそうにない。