ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)が、2014年9月24日(水)にパリで2015年春夏コレクションを発表した。
緑色の植物がぎっしり詰められた、プラスチックケースのインビテーションが示した場所は、パリ8区にある大きな美術館、グラン・パレ。会場に訪れると、草原を思わせる柔らかなカーペットがランウェイとなり、観客を出迎える。
静まり返った空間で小鳥のさえずりが小さく響き、コレクションが幕を開けた。真っ暗闇の中で、木漏れ日のように照らされたライトの下、ファーストルックとなるハンネ・ギャビー・オディールが姿を現す。ジャカードのテーラードコートに艶のあるカラフルなボーダーパンツを合わせ、ファーのクラッチバッグを持つ彼女。ラグジュアリーな素材をふんだんにまとっているのだが、気取った雰囲気は一切なく実にリラクシングである。続くモデルたちも、エスニックな幾何学柄やフラワーモチーフ、バリエーションの豊かなボーダーなど、数えきれないパターンの服をまとい、草原を賑やかに彩る。
一体何種類のテキスタイルが登場するのだろう、と思わせるほどワードローブには多彩な生地が使用されてる。無地はほとんどといっていいほど見られず、柄on柄の装いが中心。そして模様だけでなく透け感、光沢、重厚感といった異なる質感は、自由自在にミックスされ、コレクションは空気のような軽やかさとリュクスな煌めきを交えながら展開されていく。
アイテムは、キャミソールのティアードドレス、サックドレス、シャツ、ワイドパンツなどさらりと着こなせる身軽なものがベース。さらにライダースジャケットやブルゾンといったカジュアルなアウターも時折見られたほか、総スパンコールのトップス、テーラードジャケットなどもあり、ラインナップは幅広い。また帯のようなベアトップはシャツの下に合わせることはもちろん、上から身に着けたほか、後ろで結ぶことのできるハーネスのようなアイテムも同様な着こなしで登場し、斬新なスタイリングが提案された。足元はスポーティなウエッジソールサンダルで、抜け感を演出。ゴーグルのようなサングラスもポップなアクセントとして活用された。
大きな拍手とともにフィナーレを迎え、モデルたちは揃って登場する。そのまま退場するかと思いきや、なんと彼女たちは心地よさそうにカーペットに座り込み、横になったり、膝枕したりと一休み。その光景はなんとも美しく、色とりどりの服が春の訪れを感じさる。デザイナーのドリスが姿を見せると拍手はさらに強まり、今季のコレクションが賑やかに幕を閉じた。