カミヤ(KAMIYA)の2025年春夏コレクションが、楽天ファッション・ウィーク東京期間中の2024年9月3日(火)に、東京・秋葉原のキャンプ練習場「campass」にて発表された。テーマは「Mannish Boy(マニッシュ・ボーイ)」。
2023年秋冬シーズンより、デザイナーの神谷康司の名を冠したブランド名を変更し、よりデザイナー自身のルーツを色濃く反映したモードなストリートウェアを提案しているカミヤ。今季は、山手線の高架下という無骨な空間をショーのステージに選択した。1955年にアメリカのミュージシャン、マディ・ウォーターズ(Muddy Waters)が発表した楽曲「マニッシュ・ボーイ(Mannish Boy)」のタイトルを引用しながら、現代社会に迎合せず“男たるもの”を説くようなコレクションを展開する。
登場したのは、やはりダメージや褪色によって着古されたような印象を付したアイテムの数々。繰り返し登場するデニムジャケットやデニムパンツはもちろんのこと、穴の空いたニット、裾が粗野に裁ち切られたハーフパンツなどが、根底にある反抗的なストリートカルチャーの存在を映し出す。そしてまた、ワイヤーを使って歪みやうねりを加えたデニムウェアには、“男たるもの”をまだ知らぬ若者の愛らしい未熟さを込めたという。
一方で、光沢のある素材で仕立てたジャケットやベストをストリートスタイルの中に織り交ぜるのもまた、カミヤのエッセンスである。思えば、一見すると粗野に見えるアイテムたちも、型そのものは崩さないベーシックなシルエット、ときには、スリムですっきりとしたラインを描いており、端正なジャケットやベストを組み込む余地を残しているのだ。
迷彩、チェック、ボーダー、ストライプ、ボタニカルと、やや積極的に取り入れられた柄は、デニムのショートパンツなどと組み合わせられることで、温かみのあるアメリカンカジュアルのテイストが漂うスタイルへと昇華。また、テーラードジャケットの背面には、神谷家の家紋をモチーフとした“アゲハ蝶”の刺繍が施されており、継承されていく“男たるもの”のシンボルとして存在感を放っていた。