スズキ タカユキ(suzuki takayuki)が2014-15年秋冬コレクションを発表した。
「winter light」と名付けられたコレクション。“冬”ときくと凍えるように寒い季節をイメージするが、デザイナーのスズキタカユキが惹かれたのは、この季節のもつ二面性や多面性。寒々しく、儚く、どこか緊張感のある印象と、それとは対照的に、懐かしく、安心するような心地よい光のような雰囲気。今シーズンはそんな、冬ならではの“あたたかさ”に着目したワードローブを展開する。
パレットは柔らかなイメージのホワイト、エクリュ、サンドベージュを中心に、レッドがキーカラーに選ばれた。ショルダー部分にボリュームを持たせたニットは、イタリアの老舗メーカー、ゼニア・バルファ社の厳選されたウール糸で作られているほか、コレクションでは繊細な綿のシフォンが多用され、やさしい肌触りと柔らかな質感を伝えている。
ベーシックなアイテムにも、さりげないこだわりで愛着感のある服へと変わる。やわらかなウールのスタンドカラーのコートは、ほどよくゆったりとしたシルエットで上品ながらこなれた印象に。袖口を折り返して、ストライプの裏地を覗かせた着こなしがポイントだ。また王道のトレンチコートも、肩の切り替えをなくし肘まで落とすことで、クラシックさはそのままに優し気なムードも感じさせた。
スズキ タカユキらしい、麻を用いた服や、ドレープの効いたバイアスカットのディテールは今季も登場。ニットの裾からシャツのフリルを覗かせたり、ジレのヘムに麻を着けたりと、ナチュラルな印象のレイヤードスタイルを提案。タートルネックに合わせた膝丈ドレスは、バイアス仕立てのチュールが大胆に揺れる、フェミニンな一着に仕上がった。
今季のコレクションについて、デザイナーのスズキタカユキに話を伺うと、自身が北海道・根室に訪れたときの話を聞かせてくれた。「そこは、すごく自然との距離が近いところです。緯度も高いので、北ヨーロッパのように冬は15時ぐらいに日が暮れるのですが、その日の光が綺麗に斜めから入っていて、すごく柔らかい光なんです」とスズキは話す。またキーカラーに赤を選んだことについて「色味は毎回悩みますが、今回は冬の寒さよりも、“ある種のあたたかさ”を表現したかったので暖かい色味を選びました」と説明してくれた。