企画展「富山新聞創刊100年記念 『前衛』写真の精神：なんでもないものの変容─瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄」が、富山県美術館にて、2023年6月3日(土)から7月17日(月・祝)まで開催される。千葉などでも開催される巡回展だ。

1930〜80年代における「前衛」写真の展開

企画展「『前衛』写真の精神：なんでもないものの変容─瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄」は、1930〜80年代の日本において、瀧口修造(たきぐち しゅうぞう)の思想を受け継ぎつつ展開された「前衛」写真の流れをたどる展覧会だ。

日本の「前衛写真」は、シュルレアリスムや抽象主義の影響のもと、1930年代に起こった。その推進に大きく寄与したのが、詩人・美術評論家の瀧口修造である。写真の記録性を重視した瀧口は、被写体を故意に歪める技巧的な表現に偏重しつつあった当時の傾向を批判し、ストレート・フォトグラフィでもシュルレアリスム的な表現が可能であると主張したのだった。

瀧口の考えは、のちの写真表現に大きく影響を及ぼしている。たとえば、1938年に瀧口と「前衛写真協会」を設立した洋画家・阿部展也(あべ のぶや)は、瀧口に共鳴し、ともに作品や評論を発表。また、瀧口や阿部に影響を受けて写真家を志した大辻清司(おおつじ きよじ)は、オートマティスムの手法を用いて、スナップショット的な「なんでもない写真」を確立。そして大辻に見出された牛腸茂雄(ごちょう しげお)は、技巧に凝らず日常を捉えた「コンポラ写真」の代表的な写真家として注目されることになった。

本展では、瀧口、阿部、大辻、そして牛腸に着目しつつ、1930年代の「前衛写真」から80年代に至るまでの展開を紹介。彼らの4人の作品と資料を中心に、ウジェーヌ・アジェやマン・レイといった関連作家の作品を加えて展示する。

展覧会概要

企画展「富山新聞創刊100年記念 『前衛』写真の精神：なんでもないものの変容─瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄」
会期：2023年6月3日(土)〜7月17日(月・祝) 前後期で展示替えあり
［前期 6月3日(土)〜6月27日(火) / 後期 6月29日(木)〜7月17日(月・祝)］
会場：富山県美術館 2階 展示室2・3・4
住所：富山県富山市木場町3-20
観覧料：一般 900円(700円)、大学生 450円(350円)、高校生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※前売券(一般 700円)は、6月2日(金)まで、富山県美術館ほかにて販売

【問い合わせ先】
富山県美術館
TEL：076-431-2711