タナカ(TANAKA)は、2023-24年秋冬コレクションを、2023年3月18日(土)に渋谷ヒカリエで発表した。
今回が初のランウェイショー開催となるタナカは、「今までの100年とこれからの100年を紡ぐ服」というブランドコンセプトを、今季のクリエーションを通して改めて表現。奄美大島の金井工芸や、徳島の藍師・染師「ブアイソウ(BUAISOU)」、岡山のデニム加工工場の西江デニム、そしてデニム生地のカイハラと、日本のものづくりを担う工房やメーカーと引き続きタッグを組みつつ、多彩な人々が行き交うニューヨークの街並みからインスパイアされた、生き生きとしたクリエーションを提示した。
長く紡いでいくことのできる服、性別や世代を問わず長く愛される服を提案するタナカが、ブランドスタート当初から作り続けているのがデニムウェア。ベーシックなデニムジャケットやジーンズから、ムラ染めのデニムウェア、ブラックデニムとインディゴデニムをパネルで切り替えたデニムジャケット、カラフルなペイントや、ニューヨークのアーティスト・フェイル(FAILE)のグラフィックを用いた賑やかなデニムのセットアップまで、様々なデニムウェアが登場。デニムをキャンバスのようにとらえ、表情豊かに仕上げたピースが多数展開されている。
生花の押し花を装飾として施したホワイトデニムのコートは、ダメージ加工によってユーズド感をプラス。華やかさに加え、時の経過を感じさせる佇まいに仕上げた。
また、たっぷりとした分量感に仕上げたセーラーカラーのデニムドレス、テーラードカラーのジャケット、ラップスカートなど、装飾だけでなくシルエットにおいても多岐にわたる表現を実践。幅広いデニムウェアの可能性を見せている。
さらに、デザイナーのタナカサヨリがフランス在住の友人に見つけてもらったというヴィンテージスカーフを用いたウェアをはじめ、古着を再構築したウェアも散見された。袖が取れる仕様に仕上げたスカーフのブルゾンや、同じくスカーフをあしらったタナカの定番アイテム・パフィージャケットなども、サイドにスリットを施すなど、部分的に変形させることでフォルムに遊びを効かせている。また、スタジャンを解体しボリュームのあるレザーの袖をドッキングしたデニムジャケットなども目を引いた。
“まとう”という、服の原初的な概念に立ち返り1枚の布地を大胆に使ったルックも印象的だ。デニムやチェック地などをパッチワークした、グラフィックプリントのキルティング地は、体に巻き付けるようにしてドレスとして着用したり、マントのように羽織ったりして、シンプルながらも存在感を放つ装いに。
染色を施さないタナカのエッセンシャルな素材である生成り地のデニムをたっぷりと用いたドレスは、ドレープが優雅さをもたらす一方で、唐突にあしらわれた端切れデニムのパッチワークがラフな印象をプラス。また、生地自体に世界中の国旗をプリントするなど、デザインにおいても、素材においても多面性のある1着に仕上げた。