ふくよかな体型に自信の持てない10代の少女シミーは、イースターの休暇中に有名な料理研究家で栄養士の叔母クラウディアの元を訪ねる。シミーは叔母が健康的なダイエットの力になってくれると期待していたが、叔母の食事指導は思いのほか過激なものだった。さらには、不可解なほど敵意を剥き出しにしてシミーに嫌がらせを繰り返す従兄弟のフィリップ、そして得体のしれない叔母の新しい夫・シュテファンの存在がシミーの不安を掻き立てる。そして不気味な家族によるイースターの祝祭が1日また1日と近づくに連れ、美しい料理に彩られた食卓は徐々に悪夢へと変わってゆく。
ホラー映画『ファミリー・ディナー』は、イエス・キリストの復活祭であるイースターの直前に、体型にコンプレックスを持つ10代の少女シミーを主軸に展開される物語。監督のペーター・ヘングルにより、家庭内の目に見えない暴力性、ルッキズム、食と祝祭における宗教観の変化といった題材が、静謐かつスリリングに描かれている。