ラフ シモンズ(RAF SIMONS)の2022年秋冬コレクションが発表された。
今季のラフ シモンズには、西洋の絵画作品に着想を得たアイテムが数多く散りばめられた。たとえば、背面をトレーンのように長く引き伸ばしたキャップは、ピーテル・ブリューゲル(父)の《ネーデルラントの諺》の画面中央に現れる人物のマントを反映したもの。北国の民衆風俗をうつしだした元の絵画作品からは一転して、ここでは光沢を帯びたなめらかな起毛素材とヴィヴィッドな色彩により、ある種ラグジュアリーに解釈されている。
直接ペイントを施すことでトロンプルイユで仕上げたウェアも見られる。ミニマムなシルエットにまとめたニットドレスには、フロントをさながらカンヴァスに見立て、エレガントなジャケットのドレープや、花を手にした様子を描きだした。
上述のように、コレクションには温かみのあるニットや、極めてなめらかなファー素材が多用されている。チェスターコートやシングルブレストのテーラードジャケットなど、屈強なショルダーで仕立てたアウターアイテムには、上質なファー素材を贅沢に使用して仕上げている。
ファーの温かみに対して、ビニール素材の底光するような光沢も特徴だ。ロングコートはもちろんのこと、身体を覆い尽くすボディスーツやプリーツを施したドレス、あるいはテキスタイルにビニール素材を重ねたミニマムなワンピースなど、ベーシックなアイテムをビニールならではの素材感で表情を一変された。