タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITheSoloIst.)の2014年春夏コレクション「#0009」はデザイナー自身を表現したもの。「9」は宮下貴裕にとって特別な数字だ。
テーマは「I me me mine.」。デザイナーの趣向を凝縮したコレクションであることを意味し、そのひとつが今季のカラーパレットだ。宮下が好きなカラー「ネイビー(navy.)」に焦点を当て、脳内で分解することから始まった。今回主軸なっているアイテムはこのネイビーから分解された「ミッドナイト(midnight.)」「ネイビー(navy.)」「エッグプラント(eggplant.)」「ブルー(blue.)」「ホワイト(white.)」で構成されている。
ミッドナイトは限りなくブラックに近い光を吸い込むような濃い青。ミッドナイトとホワイトは無地で、柄はオンブレチェックのネイビーと、細かいリバティプリントのエッグプラント、大きなブロックチェックのブルーの3つで展開されている。いずれも裾や袖口はピッキングカットで処理され、ラフな印象に。ジャケットのポケットには、パターンの時点で意図的に縮みができるよう計算されたディテールが施された。くしゃくしゃにした紙のような風合いとシャリ感が特徴のテキスタイルは、洗いをかけることによって特殊な風合いを出したもの。同じ生地はウェアだけでなく、ハットにも使われている。
オーセンティック シュー&コー(AUTHENTIC SHOE & Co.)に依頼して製作しているブーツは、今回全てサンドベージュ。またフットザコーチャー(FOOT THE COACHER)のスニーカータイプも登場。アクセサリーには、他にもジュエリーブランド、ヨシコ クリエーション パリ(YOHiKO CREATiON PARiS)のデザイナー梶谷好孝に依頼し、特別に製作されたエクスクルーシブライン「ycist.」のフィンガーリングや、ブランド初の腕時計も登場。腕時計は1920年代のクラシックなデザインを再現した、アンティークな風合いと、作業をしたままでも手元で時間が確認できるよう、ムーブメントを1時間分斜めにずらしたレフトハンド仕様が特徴だ。また、カート・コバーンの名前に由来するサングラス「カート(kurdt.)」の丁番には、星のモチーフが配された。カート・コバーンにインスパイアされたものとして、オリジナルのダイヤ柄のニットも挙げられる。
全てはこれまで宮下自身の傍にあるワードローブであり、常にアップデートされた仕上がり。まさに「宮下の脳内クローゼット」と言えるコレクションだ。