映画『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』が、2022年4月23日(金)より、シアター・イメージフォーラムほかで、全国順次ロードショー。
映画『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ』は、第71回ベルリン国際映画祭金熊賞に輝いた、ルーマニアの鬼才ラドゥ・ジューデ監督による最新作。冒頭の過激なベッドシーンから始まる挑戦的な作品でありながら、世界中で反響を呼び、本年度アカデミー賞<国際長編映画賞>ルーマニア代表作品、ニューヨークタイムズが選ぶ2021年ベスト10第2位にも選出された話題作だ。
ラドゥ・ジューデ監督が、アイロニーに満ちた眼差しで切り取るのは、終わりの見えないパンデミックの息苦しさやインターネット、SNSにより瞬時に情報が駆け巡り錯綜する現代。世界が同時に経験したパンデミックとその後の社会の閉塞感を背景に、“卑猥”とは何か?を改めて問いかけている。不謹慎とは?個人と公とは?現代社会で誰もが直面しうる問題をユーモラスに描いた。
<映画『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ』あらすじ>
ルーマニア・ブカレストで名門校教師であるエミは、コロナ禍の街を彷徨い歩いていた。夫とのプライベートセックスビデオが意図せずネット上に流出し瞬く間に拡散。生徒や保護者の目に触れることになり、夜に控えた緊急招集の保護者会の前、事情説明のために校長宅に向かっていた。彼女の抱える不安や苛立ちは、すれ違う人々も共有する怒りと絶望、さらにはその街、引いては世界の感情そのもののようであった。猥雑で、汚れ、怒りを孕んだ空気が徐々に膨れ上がっていく…。
映画『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ』は、3部構成。主人公エミが抱く不安と苛立ちが社会全体に蔓延しているかのような一触即発の緊張感が漂い、畳みかけるように突拍子もないモンタージュの数々が重ねられていく。
第1部:エミが歩き回る姿を追いつつ、すれ違うコロナ禍の人々や街の顔を捉える。
第2部:膨大なアーカイブ映像やコラージュ、そしてジューデ監督の頭の中をのぞくかのような<パゾリーニ、ベンヤミン、ブレヒト、クンデラ、サルトル、ウルフ…>といった歴史、神話、映画監督、思想家らの格言やジョークの蓄積が大放出。
第3部:学校でのエミの異端審問さながらの保護者たちによる終わりなき“裁判”がついに開かれる。
日本では「イメージフォーラム・フェスティバル 2021」で特別上映されたものの、その過激な内容から劇場公開は不可能と思われていた。ところが、ラドゥ・ジューテ監督本人が追加編集を行った「監督〈自己検閲〉版」として陽の目をみることに。単にぼかしやカットが追加されただけでなく、シーンの要所要所に「見られなくて残念!」「検閲版だよ!」といったアイロニカルで挑発的なメッセージが映し出される。
【詳細】
映画『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』
公開日:2022年4月23日(金)シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー
監督・脚本:ラドゥ・ジューデ
2021/ルーマニア、ルクセンブルク、チェコ、クロアチア/ルーマニア語/106分/シネスコ/5.1ch/英題:BAD LUCK BANGING OR LOONY PORN/字幕翻訳:大城哲郎/配給:JAIHO R-15