スズキタカユキ(suzuki takayuki)の2021-22年秋冬コレクションが発表された。
「ancient forest」をテーマに掲げた今シーズン。デザイナーのスズキタカユキが思いを馳せたのは、しばらく訪れることができていないという北海道・根室の自然豊かな土地だ。海から砂浜、草原、森林、湿地、干潟とグラデーションのように続くその土地は、長い間人の手が入っていないまさに“太古の森”といえる。
訪れるたびに生きていくことの<厳しさ>と<喜び>の両方を感じ、自身を奮い立たせてくれるその土地のことを思いながら、深い森をイメージしたコレクションを完成させた。
まず目を引くのは、コレクションのテーマカラーとして採用された、美しい森を思わせるカーキ。葉の生い茂る木や背丈の低い草、ふかふかの土、水辺に生える苔など、壮大な森が数多の生き物で構成されているように、コレクションにも様々な色調のカーキが登場した。ドロップショルダーで仕上げたロング丈のワンピースは柔らかい印象の明るいカーキで、軽やかなリネンシャツはダークトーンのカーキで染め上げた。
カーキはミリタリーウェアに多用されるカラーだが、素材にこだわることでコレクションテーマにそくしたナチュラルな印象に仕上げているのも印象的だ。1990年代から着想を得たというセットアップには、光沢感のあるリネンを採用することで、抜け感を演出。
ふんわりとしたシルエットのロングコートは、やわらかいカシミアを用いることで、より一層軽やかなムードに。いずれも同系色のアイテムを重ね合わせることで、どこまでも続く森のような、奥行きのあるスタイリングに仕上げた。
身につけることで心が穏やかになるような、着心地にこだわったアイテムが散見されたのも今季の特徴だ。ソフトなタッチのマフラーや思わず触れたくなるほどなめらかで肉厚なスウェットのセットアップ、シルクとコットンで仕立てたエアリーなトップスなどが展開される。