ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)が2013年6月26日、2014年春夏コレクションをフランス・パリのパレ・ド・トーキョーで発表した。
今回のコレクションを一言で説明するなら、「正方形と長方形の組み合わせによる新しさの追求」が正しい。とくに圧巻だったのが、ブロックチェックのバリエーション。「ミリ単位」という言葉が陳腐に感じるほどポケットやダブルの合わせ部分の柄合わせにこだわったジャケット(ボタンは比翼で表に出ないように隠している)や、産業資材のようなビニールのスクエアヘムのジャケットは、定番の柄に新鮮な魅力を与えている。インナーのブルーが透けて見える半袖のレザーシャツは、正方形に細かくレーザーカットされた芸が細かい逸品。四角と色の組み合わせによるアート作品のようなチェックは、今回のコレクションを象徴する柄と言っていいだろう。
長方形は、織で明暗をつけたボーダーのブルゾンや、ポケットのフラップを別布にして長方形を浮かび上がらせたジャケット、垂直に1本刻まれ線(長方形)が印象的な半袖のタートルネックセーターなどで表現している。
素材へのこだわりも凄みを増している。通常はストライプが多いシアサッカーは、ブロックチェックや単色の赤、青にすることで、トラッドのイメージを払拭。前述の織によるボーダーや、ウール素材の原型を止めてないほどに光沢感のあるウールは、恐らく日本の産地の機業と共同で開発したもので、海外勢と比較して明らかな違いを生み出している。
カラーパレットは、赤、青、緑の原色を使っているが、不思議と派手な印象を受けないのは多くを黒かグレーと組み合わせているからだろう。六四分けのサイドバックの髪型もモード感の演出を助演している。
柳川といえば、プロボクサーを引退後、イギリスで古着のバイヤーをしていた時に身につけた「英国のテーラード」が根底にあるのは良く知られていることだが、長く彼のコレクションを見てきて今回ほどイギリスを感じなかったことは今までない。サリバンを象徴するジャケットのコンケーブ・ショルダーも、肩先の尖りが控えめになり、ミニマルな形に姿を変えている。東京コレクションでチャンピオンになった後、パリに戦いの場を移した柳川。どうやらこの強者揃いのリングでも“4回戦ボーイ"を卒業し、欧米のハイブランドと真っ向勝負する時期にきたようだ。
Text by Kaijiro Masuda(FASHION JOURNALIST)