ロエベ(LOEWE)の2021年秋冬メンズコレクションが発表された。
今季のロエベにおける製作の源泉となったのは、20世紀アメリカで活躍した芸術家・作家のジョー・ブレイナード。クリエイティブ ディレクターのジョナサン・アンダーソンが、花のコラージュやアッサンブラージュなどで知られるブレイナード作品の核に見て取ったのが“反復”の要素だ。
反復といっても、それはオリジナルを繰り返す惰性的な操作を指すのでは断じてない。マリリン・モンローの肖像を並べてイメージの増殖を作品化したアンディ・ウォーホルにもみるように、イメージの反復自体、新たな表現を生みだす積極的な意味合いを持っている。
ブレイナードを代表するのが“、パンジー”のコラージュ作品。今季のロエベでは、大小さまざま、鮮やかにして色とりどりの花々が、ロングカーディガンやワイドパンツといったウェアのみならず、バッグやスニーカーなどにまで展開されている。
また、マルチカラーのブロックを基調に花々をプリントしたジャケットや、ロゴや肖像をスリーブの上に大胆にのせたコートなど、ウェアの表面を自由に操作するかのようにイメージのコラージュが行われている。
反復はそうした“イメージ”のうえでのみ行われるのではなく、もっと具体的な手触りにおいても遂行されている。Tシャツやざっくりとしたクルーネックニットは、まるでパソコンの画像編集画面で図像が残像を描くかのように、3つのTシャツやニットを組み合わせて。また、レザーパンツにはジッパーや編み上げデザインに複数のベルトを反復させて絡ませ、パンクな気分を高めた。