ミュベール(MUVEIL) 2021年プレフォールコレクションが発表された。
見慣れた風景の中でも、思いがけず“ワクワクする”発見をしてしまうことがある。今季のコレクションはまさに、そんな“ハッピーな発見”に出くわしてしまった、デザイナー 中山路子のトキメキを詰め込んだものだ。舞台となるのは、──それは意外にも──暮らしに欠かせないスーパーマーケット。店内に並ぶ商品や内装を彩るインテリアから、心躍るモチーフをかき集めた、ちょっぴりレトロで洗練されたワードローブを展開する。
コレクションを彩るのは、スーパーマーケットの“常連”である野菜や果物、また小麦のパッケージに着想したフラワーモチーフなど。爽やかなレモン柄プリントをあしらったスカートやワンピース、立体的な刺繍でブドウや真っ赤な花を表現したベストやトップスといったアイテムが、コレクション全体にハッピーなムードをもたらしている。
一見、幾何学模様に見えるピースも、実は今季のムードをたっぷりと詰め込んだもの。“暮らしの必需品”である洗濯ばさみを規則的に配置したことで、そのグラフィカルな表情を作り上げた。スカートとセットで楽しめる長袖トップスは、その襟ぐりや裾に鮮やかなオレンジを差し込むことで、ポップなムードもプラスしている。
象徴的に取り入れられたのは、真っ白なオリジナルレース生地。本来はロマンティックな要素が強いレースだが、今季は“可愛いだけじゃない”ユニークさもプラス。ローカルなスーパーマーケットの窓を飾るレースカーテンを思い浮かべた中山のアイディアから、実際にカーテン専門のレース生地で仕立てた、どこか懐かしいレトロな表情へと引き寄せている。
カラーは、ベージュやブラウンを基調に、秋らしさを香らせるモスグリーンやスモーキーブラウンをミックス。スタイリングは、ひと昔前の海外ドラマや映画に登場するヒロインが、スーパーマーケットに出かける姿をイメージした。また今季は、レジ袋風のバッグや果物モチーフが揺れるベルトなど、装いのアクセントになるキッチュなアクセサリーも充実している。