2013年3月22日(金)、エー ディグリー ファーレンハイト(A DEGREE FAHRENHEIT)が2013-14年秋冬コレクションを発表した。テーマは「122℉(50℃)"Heat of Reactinon"」。鉄が錆びていくときに発する熱の温度である50℃を、一着一着で表現した。
暗闇の中に浮かび上がったバイオリン奏者が奏でる音色と共に幕を開けたショー。チャコールグレーからブラック、グレー、ブラウンへと変化していくシックな色合いは、まるで酸化していく鉄のよう。素材はトリアセテートやジャージーを中心に、ニットや毛足のちぢれたファーなどが温かみをプラスしている。
得意のドレープ使いは今回も健在だ。光沢のあるブラウンのドレスに見られるさまざまなドレープは、優雅であり、身体の動きに合わせて豊かな表情をのぞかせる。あえて錆びさせたり、大胆にファーを用いたアクセサリーがそのスタイルを唯一無二なものへと導いた。
先日ベルリンでも2013-14年秋冬コレクションを発表したエー ディグリー ファーレンハイト。そのショーでは、前を歩く高齢のモデルを、若いモデルが次々と追い越していくというセンセーショナルな演出を見せた。鉄も人も錆びてゆく。「錆びる」ことの美しさについて、深く考えさせられるコレクションとなった。