2013年3月20日(水)、カミシマ チナミ(KAMISHIMA CHINAMI)が2013-14年秋冬コレクションを発表した。女性の外面的・内面的な美しさの両面を表現する日本語独特の言葉「艶」が、今季のテーマだ。
ファーストルックは、艶やかなシルクのワンピースに情熱的な赤のウールコートのフェミニンなコーディネート。全体的に落ち着いたトーンで統一されているものの、色彩はオレンジからグリーン、ブルーへと移り変わり、感受性豊かな女性の内面を表現しているかのようだ。
彫刻刀で木を削ったようなタッチのチェックなどユニークなプリントが多数登場したが、中でも注目はワンピースやストールに用いられた池田満寿夫の版画作品のモチーフ。重ねられた女性の細い指が存在感を放つ「聖なる手」という作品は、池田が14世紀に描かれた「婦人の肖像」という作品をもとに制作したものだ。時を超えて人々を虜にする作品の魅力について、デザイナーの上島は「歴史の中で共有される感覚」と表現する。
ドレープやタックが優美なワンピースやスカートといったフェミニンなアイテムだけでなく、張りのある素材でシャープなシルエットを描いたコートやセンタープレスパンツなど、マスキュリンなアイテムもミックスされた。優しく、強く、そして儚く。様々な表情が深みを生み出し、色褪せることのない女性の美しさを表現したコレクションだ。