ヤストシ エズミ(Yasutoshi Ezumi) が、2013-14年秋冬コレクションを発表した。テーマは「Anima」。これはカール・グスタフ・ユングが提唱した心理学用語で、男性の無意識下の中にある女性像と、女性性の統合を目指した。
デザインするにあたり、「今回はいつものようにモノの理(ことわり)から入るのではなく、心理からアプローチした」と語るデザイナーの江角。ブラックを基調としたシャープなスタイルが見られる一方、ベージュやホワイト、オフホワイトなどの優しげでイノセントな雰囲気のスタイルも登場。フェミニンとマスキュリンという相反する2つの要素を取り入れ、1つの人格の形成を試みた。さらに男性的なモデルと女性的なモデルの両方を起用するなど、テーマに対するこだわりが印象的だ。
コレクション全体を通して目を引いたのが、随所に取り入れられた大ぶりな花柄。女性的なイメージである花の曲線部分を、男性的なイメージの直線に変えるという、ピカソなどにも見られるキュビスムの手法を用いて描かれた。まさに今回のテーマを象徴したデザインだ。
後ろ身頃が長いジャケットを取り入れたマスキュリンなルックで始まったショーは、ドルマンスリーブのニットや花柄のドレスで徐々に女性らしさを帯びてゆき、最終的には袖が背中と一体化したコートなどの自らのスタイルを確立、自己実現を達成する。観客を引き込み、思わず考えさせられるような、ストーリー性の強いコレクションとなった。