ワイズ ピンク(Y's Pink)は、2020年春夏ウィメンズコレクションを発表した。
70年代のカウンターカルチャーのムードに、東欧の民族衣装のディテールを掛け合わせ“EASTERN PUNK”を掲げた今季。ボンデージやダメージ加工といった、パンクスタイルを象徴する要素から見受けられるアナーキーな空気感と、文化・伝統に根付いたクラフトやデザイン、異なる2つの要素を掛け合わせることで、ワイズ ピンク独自の世界観を構築していく。
ボタンをたくさん並べたドレスやブラウス、襟の大きい白ブラウス、身体を包み込むようにゆったりとしたスモックドレスといった民族調のピースはいずれも、色彩をニュートラルに抑えることで、クラシカルで鮮やかな既存のイメージに摩擦を起こす。バルーンスリーブのコートは、ハリのある生地で仕立て、ふわりとしたフォルムとは裏腹にソリッドなムードに仕上げた。
足元を飾るのは、バブーシュのようなスニーカーや、ストラップが複雑に交差するサンダル、履き口の広いショートブーツなど。いずれもアクティブなソールをあしらうことで、デザインに意外性を添え、現代的に仕上げている。
サイケデリックなプリント柄のセットアップは、生地をたっぷりと使った分量感がポイント。柄そのものはよく見るとエキゾチックにも見えるが、波打つようなドレープと模様が相まって柄が歪み、混沌とした印象を強めている。
極端に袖の長いカットソーやシャツは、スタイリングにランダムなシルエットをもたらしている。グラフィカルなカットソーの上に重ねた白のトップスは、不均衡なフォルムによってラフな表情を演出し、ほつれた糸がノイジーなブラウスは、余った袖を折り返して固定することで、ユニークな輪郭を描き出す。
また、ノイズを起こすのは袖だけではない。ストライプのブラウスとパンツにボリューム感のあるシースルーのノースリーブを重ねたスタイリングや、ロング丈のシャツワンピースの上からタイトなカットソーを重ねたルック、ショートパンツに組み合わせたルーズなオーバーサイズのジャケットなど、極端なウェアの組み合わせによって“歪さ”をあえて浮き彫りにしたルックも散見された。