4世紀にも渡って植民地支配された歴史のあるアフリカは、ヨーロッパとアフリカという異文化が融合したコロニアルスタイルが根付く土地。2013年春夏のディクショナリー(dictionary)は、デザイナー冨田靖隆が旅した北アフリカで出会ったメソッドをアーバンに落とし込んだコレクションだ。
モロッコにあるイヴ・サンローランの別荘であったジャルダンマジョレールにも見られるような、トロピカルムードの中にクリーンとモダンが混ざり合った特殊なイメージをプリントやテキスタイルの組み合わせで表現する。例えばアフリカ民族衣装のカンガとレースを縫い合わせたウエストギャザーのノースリーブは、まさにヨーロッパ×アフリカ。伝統的なメンズウェアやヴィンテージのディテールを取り入れることで、ヨーロッパのエッセンスを加える。エスニックな色合いのモザイク、世界最大のサハラ砂漠などカラーリングや転写プリントにデザイナー冨田の見た情景が映し出されている。
ケーブル編みをイメージしたカットソーは、スモッキングのテクニックを応用することでクチュール感を出しつつイージーに着られるリラックス感が魅力。ニドム加工など4つの工程を経て作られた柔らかいテキスタイルのスプリングコートは、ハイウエスト切り替えでスタイルよく見える上に重量も軽く高級感のある素材でさらっと羽織れるのが自慢。春の陽だまりを思わせるリバティプリントとストライプの組み合わせのプリントは爽やかな印象だ。またラバー素材のコートやブーツなど、レインウェア、バッグやシューズなどアクセサリーも充実している。
また今季から新ライン「ノット(KNOT)」もスタート。"ある朝起きたら女の子になっちゃった男の子"が、メンズのワードローブをウィメンズに仕立て直すというコンセプト。ディクショナリーと同様のコロニアルなデザインに加え、マーベルトをあしらったメンズのパンツをリメイクした様なスカートや、バックスタイルにレースとオーガンジーを使った三角パッチのスウェットなどが特徴的だ。北アフリカからのインスピレーションとトラッドなアイテムのディテールが化学反応を起こしたアーバンで新鮮なコレクションとなった。