2012年10月20日(土)に渋谷ファッションフェスティバルの目玉のひとつとして発表されたミキオ サカベ(MIKIO SAKABE)の2013年春夏コレクション。会場である宮下公園には大勢の観客が詰めかけ、「神聖かまってちゃん」のみさこ、かっちゃんによるツインドラムあいどるユニット「バンドじゃないもん!」のライブを中心にショーは展開された。
デザイナーの坂部は、「もともと男性は論理的なものだと思う。そこに女性的な思考を加えた新しい男性像を提案してみたいと考えていました」と語るように、カラーパレットはピンクや水色、紫、イエローなどミルキーなカラーがメイン。また、前シーズンに引き続き登場したセーラー衿やショートパンツが中性的な印象だ。一方で、レースやチュールをあしらったカーディガンやロングスカートなど少女趣味的な要素を組み合せ、夢見がちながらも突き抜けた明るさと幸福感を表現していた。
注目アイテムは、ダイヤ柄が特徴的なモチーフとして描かれたV字のニットカーディガン。大胆に浮き出たせり、異なる色や大きさで組み合せたものまでバリエーション豊富に展開され、いつもの少年スタイルにひねりを加えたい人にオススメだ。
コレクションだけでなく、見せ方もかなりファンタジック。「バンドじゃないもん」によるポップな演奏と歌が繰り広げられているにも関わらず、まるでモデル達はそんな光景が見えていないかのよう。無表情でステージに上がり、果てには少女コミック誌を読みふけるほどだ。そんな謎に包まれた演出については、坂部自身が訪れた「バンドじゃないもん!」のライブ光景から思いついたと話し、「あんなにはしゃいで楽しそうに演奏しているのに、モデルがのることもなく、無視してたら面白いと思って」と説明した。
音楽との融合を目指したショーの形式は年々盛んになっているが、あえて「合わせない」意外性の妙味を衝撃的に突きつけたコレクション。