パリファッションウィークで発表されたミュグレー(MUGLER)の2013年春夏コレクション。レディー・ガガの未発売シングル「Cake」をBGMに、長い廊下を歩くモデルたちがまとったのは、前シーズンから一転、リアルでモダンなコレクション。クリエイティブディレクターのニコラ・フォルミケッティ(Nicola Formichetti)がイメージしたのは、都会のミュグレーガール。「彼女たちはシックで、恐れを知らないスピリットを持っているんだ」と彼は語る。
メキシコシティから東南アジアのジャングルまで、赤道近くの国々を旅した彼の思い出を元に、街のエネルギーとトロピカルなムードをカラーパレットに反映。通りを行き交う車の音、ヘッドライト、コンクリートの摩天楼に反射する夕焼け、そして熱気…そんなイメージを、デザイナーのセバスチャン・ペイネ(Sebastien Peigne)が1970年代に活躍した写真家ギイ・ブルダン(Guy Bourdin)の作品の雰囲気とともにコレクションに落とし込んだ。
着物や帯のようなデザイン、ぴったりとしたニットにウエストをしぼったアワーグラスシルエットのラムスキン、パラソルのようなプリーツスカート、東洋のドレスのようなランタンスリーブ(丸みのある袖)など、ウォン・カーウァイの映画『花様年華』の世界観も反映している。また、構築的なシルエットをボンデッドシーム(縫製せず、接着された縫い目)が強調。光沢のある生地はマイラというポリエステル素材で、黄色、オレンジ、赤、水色で彩られたワンピースは、まさに夕焼け空を映したかのよう。
シューズは、オートクチュールメゾン御用達としても知られる老舗ブランドマサロ(Massaro)が手掛けた。美しいシルエットが鼈甲柄で覆われた気品あるシック&ラグジュアリーなデザイン。また、今季新しくハンドバッグコレクションもローンチ。卓越した職人技により、40年を超えるミュグレーの歴史とフォルミケッティの現代的ビジョンが融合し、アーティスティックでグラマラスなバッグが誕生した。