有名ファッションブランドが最新コレクションを発表するミラノ&パリのファッションウィーク。“新しいトレンドが生まれる”ランウェイショーをキーワードに沿っておさらい。
今季、一際目を引いたのがフリンジとスパンコールによる装飾。ボリューム感を生むフリンジ、キラキラと輝くスパンコール。個性の強いデコレーションの取り入れ方を人気ブランドの最新ルックからチェック。
アレッサンドロ・ミケーレ率いるグッチ(GUCCI)。共通項のないもの同士を融合させた折衷主義的クリエーションが得意なミケーレであるが、フリンジの取り入れた方もこの思考から生まれている。ベースとなったのは、ノーカラージャケットのスーツ。クラシックなピースのスカート部分と袖口をフリンジに変えて、アグレッシブなスタイルに変更。カラーもメタリックカラーを取り入れて、刺激的な佇まいに。
ドキュメンタリー映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』も公開され、注目を集めるドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)もまた、今季フリンジを印象的に投じた。シンプルなホワイトドレスの上で浮かび上がるグリーンのフリンジ。左から右へ流れるように配して流動的な流れを作っている。フリンジと色あわせをして、グリーンのイヤリングを合わせている、上級なコーディネートテクニックは必見。
インターシャやエンブロイダリーなどあらゆる手法で、可憐な花々を咲かせた今季のピエールパオロ・ピッチョーリによるヴァレンティノ(VALENTINO)。フラワーモチーフが溢れるコレクションの中で控えめに存在したのが総フリンジのドレスだ。3段階にティアードされたフリンジは歩みに合わせて優雅に揺れ動く。ルネッサンス時代からインスピレーションを得たという桃色も控えめで可愛らしい。
ミラノ・コレクションで最も数多くのフリンジを取り入れていたのは、おそらくN°21(ヌメロ ヴェントゥーノ)。バッグの本体に、ストラップに、チャームに…“フリンジ祭り”さながらに様々な場面で取り入れていた。中でも印象的なのはアームに沿って配されたフリンジ。カジュアルな印象の強いチェック柄シャツも、フリンジで重量感を持たせれば、舞台衣装さながらのドレスアップスタイルへとイメージチェンジする。
スパンコールが先陣をきってスタートした今季のバルマン(BALMAIN)。ブランドの歴史を重んじながらも未来へ向かって大きく舵をきったオリヴィエ・ルスタンが選んだのは、オーロラのように輝く大振りなスパンコールだった。うろこのようにスパンコールを重ねて仕上げたトップスには、シースルーパンツやホログラム素材のコートをレイヤード。パンチの効いた着こなしでフューチャリスティックな世界観を表現した。
同じくスパンコールをふんだんに散りばめたドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)。ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナ両者が得意とする宗教画のエッセンスに、今季はモダンさを注入してルックを完成させた。エレガントなロングドレスも全面にスパンコールをあしらうことで、パンチのあるピースに。エンジェルと対を成しているのが、コミック風のポップロゴというユーモアあふれるモチーフ選びも注目だ。
メゾンのコード・黒、70年代のロシアンコレクションからのインスピレーション、そしてアンソニー ヴァカレロが得意とするボディコンシャスなドレス群と3部作で展開した、今季のサンローラン(Saint Laurent)。フィナーレに向けて登場したのは総スパンコールのドレスたちだった。フラワーがモチーフとなっているが、手作業で仕上げたというドレスは、一つひとつ花の咲き方が異なるのがポイントとなっている。
3シーズン目を迎えたフランチェスコ・リッソによるマルニ(MARNI)。「重なり、切断し、つまむ。」などテキスタイルの遊び方にフォーカスした今季のドレスは、パッチワークがキーワード。胸元を大きく開けウエストシェイプしたフェミニンなシルエットの中に、キラキラと輝くスパンコールを忍ばせた。袖口から伸びるアンフィニッシュな糸が、スパンコールが作る華やかな世界に素朴さを投じている。