カルヴェン(CARVEN)の2017-18年秋冬コレクション。
今シーズンは、第一次世界大戦後のロンドンを舞台に描かれたヴァージニア・ウルフの長編小説『ダロウェイ夫人』がインスピレーション源だ。登場人物は同じであるが、舞台は過去から未来へタイムスリップ。”ダロウェイ夫人がデジタル時代の今生きていたら?”そんな妄想から生まれた、献身的で情熱家、好奇心旺盛なのにフェミニンな女性が、今季のカルヴェン ウーマンの姿だ。
女性らしく優しい心は、モクレンの花びらと重ね合わせた。淡いピンクで丸みあるシルエットは、シルクドレスやトップスの袖で表現され、ソフトなショルダーラインを強調する。それから、凛とした美しい佇まいは、Vネックのジッパージャケットの百合のようなフォルムが代弁。
優しいけれど強い、そんな多面性を持った姿は、幅広いバリエーションのカラーパレットで描き出す。かすんだような赤と、アイスブルーといったパステルカラーのコンビ。深みのある黒とハイグリーンの強いコンテトラスト。ふわふわと柔らかなファーの上で踊る、シルバー・シャンパン・銅といったメタリックカラー。
斬新さも溢れているが、クリエーションの基盤はあくまでカルヴェンの歴史に基づいている。アーカイブから着想を得て、オフショルダーのコートやドレスが提案され、メゾンの象徴としてコレクションの中で存在感を発揮している。