アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)が2017-18年秋冬メンズコレクションを発表した。今シーズンは、詩人オスカー・ワイルドのロンドンからパリへの旅模様を描き出している。
特筆すべきは、2017年春夏ウィメンズコレクションのランウェイに敷かれたカーペットを想わせるテキスタイル。ワインレッドの印象的なカラーに精緻に施された草木柄は当時と同じく荘厳な面持ち。今季はブランドには珍しく、ビックシルエットを採用したアイテムが多く、それもまたこの素材とマッチしている。一方で、黒一色のジャケットのラペルや袖口、ロングコートの胸元などは、ひとつひとつが繊細に仕上げられ、単色であっても力強く、花々が踊り咲くように美しい。
もうひとつ象徴的なものはピーコック。アウターからシャツに至るまで、すべて手作業による羽の刺繍が載せられており、それはさながらオートクチュールのようである。特にピックアップしたいのは、全面に羽を散りばめたデザイン。ランダムに並べられた羽ひとつひとつには、小さな数字が描割り振られている。これはかつて、孔雀の羽のコレクターが一枚ずつに番号を付けて収集していたことに由来するという。この羽の美しさに魅せられたものは、今も昔も変わらないのだろう。
また、ロンドンからの旅を描いていることからブリティッシュスタイルもヒントとなっている。肘にスエードパッチを配したグラフチェックのジャケット、ブルーやレッドのフラットなアウター類はまさしく英国調。しかし、その中でも装飾入りの金ボタン、シルクで包んだクルミボタンなどのディテールでブランドらしさを暗示している。