SHIROMA(シロマ) が2012年春夏コレクションを発表した。宇宙に閉じ込められたような会場の暗闇に光が差し込み、硬く響くフューチャリスティックな音楽にのせて、SHIROMAのデビューコレクションは幕を開けた。
テーマである「永遠に続く存在」を"未来×ヴィンテージ"という形式で提案。ここで未来とは、存在しては無くなることを繰り返し、その先にはただまた次の未来があることを指す。メタリックなイメージの強い従来の未来観を覆すように、カラーパレットはベージュ、アイスグレー、ペールグリーンなどのフェミニンで柔らかなトーンを揃えた。
ディアスキンの繊細な表情を引き出したドレスやジャケットは、ブランドのシグネチャーでもあり、また今回のテーマを象徴するアイテム。ディアスキンを極限まで薄く漉き、そこに箔を重ねたりひっかくように削ったりしてヴィンテージの風合いを出した。体の中心へと重心を置いたジャケットや前で大胆に結んだようなデザインのワンピース、美しいドレープを描く沢山のアイテム達は、造形的でアート作品のような完成度。また大理石やダイヤモンドのかけらを敷きつめたような美しいプリントで、観客を幻想的なムードへと引き込んだ。
クラシックなウイングチップを解体・再構築したようなパンプスや、デザイナー城間志保の出身地である沖縄伝統の片染めを施したアイテムなど、小物にもグラフィカルなものが揃う。二重構造でつくられたアイウェアは、フルフェイスシールドが顔の前で浮いているように見え、ミステリアスな雰囲気。モデルはスモーキーなアイメイクに近未来的なヘアスタイルでエッジーに仕上げた。
未来におけるヴィンテージとヴィンテージにおける未来、そのふたつの定義の曖昧さ。そして、そこにある確かな存在が持つ強さを感じるコレクションとなった。