ノゾミイシグロ オートクチュール(NOZOMI ISHIGURO Haute Couture)が2012年春夏コレクションを発表した。テーマは「シュークリームとクーデター」。ラグビー場の外の通路を舞台に、動物の鳴き声とともにコレクションは幕を開けた。
薄いシフォンの生地をなびかせ歩いてくるモデルのドレスの胸元には、今回のコンセプトのロゴプリント。終始ショーの中で見られた太めの編みタイツにエンジニアブーツというコーディネートが、ゆるぎない女性の強さと信念を表現しているかのよう。
メンズのルックは、ホワイトがメインカラー。ペイントされたつなぎやスウェット生地のジャケットにホワイトのスキニーパンツを合わせ、フラッグを掲げて歩く姿はとても力強い。
バックに大胆な切り込みを入れたライダースベスト、ジップのあしらわれたレザージャケットは前後から見た印象がそれぞれ異なり、そこに何度も登場した薄い素材のスカートをラフにまとって、重さのバランスをとった。
シュークリームのようなパフスリーブの袖から伸びるリボンが印象的なの黒いワンピースからは、重なった白いレースが覗いている。少女の持つ純情なあどけなさと、現実社会へと向けた叫びが混ざり合い、今季のコレクションの中で最もコンセプトを象徴したスタイルとなった。
実際に夢にみた出来事をきっかけに今回のテーマを決めたとデザイナーは語る。「もっと現実社会で巻き起こっている事件に声をあげるべきだ、自分からクーデターを起こそう」という強い想いを託したコレクションだった。