ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)は、ジェニー ファックス(Jenny Fax)と合同で、2015年10月17日(土)に2016年春夏コレクションを発表した。これまで春夏・秋冬シーズンで、交互にランウェイショーを行ってきた両者が、同時に発表したのは初めてのことである。

今シーズンのベースは、シュエ・ジェンファンにあると話した、デザイナーの坂部三樹郎。ショーは3部構成になっていて、ジェニー ファックス、ミキオサカベ、ジェニー ファックスの順に新作ウェアが展開された。

坂部はここ数シーズン、ロリータ文化やジェンダーレスなど、カルチャー的要素や思想、信条といった内面的なものに目を向けていたが、今季は「存在感」をテーマに、ファッション性に真摯に向き合った。

ファッションには必ず流行がある。一世を風靡したアイテムも、ときが過ぎれば過去のもの。振り返ると、その輝いた姿は一瞬の出来事だったようにも思える。 ファッションが直面する、この厳しくも必然的な出来事を坂部はデザインで表現。

その方法は、バックステージで洋服を染めるという驚きのもの。小花柄やカラフルなペンキペイント(モデルの足までカラフルにペイントされている)が多用されているのだが、それらはショー直前に仕上げたものである。肌についてしまったり、溶けだしてしまいそうなリキッドな感覚で、ファッションの刹那性を体現。

コーディネートは、同じものの駆け合わせを多く見かけた。ボリュームブラウスにボリュームブラウス、ベアドレスオンベアドレスといった具合に。また、ニットキャミソールとラバー加工プリーツスカートに見られる、ナチュラルなものと人工的なもの組み合わせや、オーバーサイズドレスを太いベルトでキュッと締めた着こなしも特徴的である。

ベアドレスの胸元がハート形になっていたり、シースルードレスのポケット部分だけをカラーチェンジしたり…。そういったロマンティックなディテールと、長すぎるアームラインから伺える個性的な洋服の見せ方。ワードローブを装飾する要素は多種多様だが、足元はプラットフォームシューズで揃え、今季のミキオサカベスタイルを完成させていた。