ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)が、2016年春夏メンズコレクションを発表した。
今季のコレクションは、1980〜90年代のミュージックシーンからインスパイアされている。コールド・ウェーブ(Cold Wave)、ダーク・ウェーブ(Dark Wave)、ノー・ウェーブ(No Wave)、ニュー・ウェーブ(New Wave)…そんなめぐるめくムーブメントの中で、ミュージシャンたちが個性を発揮すべく打ち出していった、イメージやファッション。それらをブランドの得意とするテーラリングやストリートの切り口に当てはめ、表現したシーズンだと言えるだろう。
では、80〜90年代ムーブメントの香りはどこに隠れているのか。ひとつは”歪さ(いびつさ)"だと言える。登場するのは、ジャケットにブルゾン、ライダース、スラックス、レザーパンツなど、サリバンが得意とする定番のアイテム。しかしながら、ダブルのレザーライダースは不自然なまでに大きく身幅がとってあるし、ブルゾンも現在の主流からすると、袖がかなり太くて長く、中には手の先まで覆うものもある。コートはストンと落ちるロングシルエット、パンツもタイトなストレートやハイウエストのテーパードシルエットが中心となり、コントラストの強いスタイルを生み出していく。
特別目を引く柄を使わない代わりに、光沢のある素材感も、エッジィな魅力を助長している。レザーはライダースだけでなく、スラックスにまで使用され、ロングコートやスリムなパンツにはラバーをコーティングした。上下光沢素材で合わせることで、インパクトを強めていることも、スタイリングの妙だ。
そしてTシャツのフロントやコートのバックには、あのミュージシャンのロゴを彷彿とさせるようなグラフィックも落とし込まれた。確かにオマージュしているのだけれど、よく見ると少し違う。そんな敬意を含んだ遊び心もまた、コレクションの世界観を深める、大きな役目を果たしていたのではないだろうか。