ディオール(Dior)の2015-16年クルーズコレクションが、フランス南部カンヌ近郊にある、ピエール・カルダンの別荘「パレ・ビュル」で発表された。
青い空と海、さんさんと降り注ぐ太陽の光。ラフ・シモンズは、南フランスを包み込む自然の景観に思いを馳せた。アーカイブと対比させながら、現地の人々の佇まいからヒントを得て、自由・遊び心・個性を念頭に置き、クリエーションを進めた。
コレクションは、ミニ丈のスカートやコンビネゾン、ドレスを中心に、フレッシュで軽やかなムードのなか進んでいく。風になびいて揺れるプリーツスカート、スイムウェアのような極短コンビネゾン、ボディコンシャスなノースリーブドレスなどが展開。一方で、リラクシングムードのロングパンツやハイウエストパンツといったシンプルなウエアも揃った。
シルエットやディテールは、女性らしさに目を向けているよう。画家のスモックを想起させるトップスも、キュッとウエストラインを絞り、モダンなスタイルへ昇華させている。ふわっと広がったヘムラインや立体的なアーム部分は、アーカイブのコートが着想源。ドレススタイルは、胸元に大胆なカッティングが施し、センシュアルな魅力を包みこんでいる。
南仏の豊かな自然は、鮮やかな色彩とメタリック地を合わせ、抽象的なデザインに落とし込まれた。スモッキングやパッチワークといった手法も採用し、ハートウォーミングな装飾が繰り返し登場する。また職人技がきらりと光る、プリントを重ねた鍵編みは、抜群の存在感。ニットファーを合わせたノースリーブドレスは、なかでも印象的で、観る者の心を掴む。
エレガンスと機能性を共存させた今シーズンの発表の場としてラフは「パレ・ビュル」をセレクト。「この場所には数年前から魅了され、ここでコレクションを発表できることを心から嬉しく思います。」とコメントを残した。