美術館の中に設置された会場に入ると、そこには土が敷かれたランウェイが待っていた。パリ・ファッション・ウィークで発表されたクリスチャン ワイナンツ(christian wijnants)の2015-16年秋冬コレクション。今回彼がインスピレーションを受けたのは、写真家ジャッキー・ニッカーソンによる、アフリカの農業が映し出された作品の数々だという。
人々の声と太鼓のリズムに導かれて、ショーは始まった。まずはバナナの葉っぱや、ハイビスカスが描かれたウェアがメインのスタイル。抽象化された平面的なグラフィックは、レザーのような素材にプリントされたり、ジャカードで表現されたりしながら、シックで、大地の恵みにともなう喜びのある空気感を運んでくる。
ショーの半ばからは、ビッグシルエットが目立ち出す。ギンガムチェックやグリーン、イエローなどのナイロンパーカーは、軽くもかなりゆったりとして、裾の後ろを長くとったシルエットに。起毛感のあるガウンは、片側の裾が床につくほどに伸びた、アシンメトリーな出で立ちになった。
そして終盤には、大小に切られた生地の破片が複雑に重なり合う、ユニークなデザインが登場する。無地、レオパード、チェック。フェルト、オーガンザ。組み合わされる柄や素材は多種多様だ。そんな進化形パッチワークでつくられたウェアの中には、スワロフスキー・クリスタルをさりげなく取り入れた、ラグジュアリーなアイテムも披露された。