エネルギッシュなものと、禁欲的なもの。マルニ(MARNI)の2015年プレフォールコレクションでは、その自由な組み合わせが、独自の魅力を形作る。
コレクションを見渡した時、インパクトのあるロングコートは、きっと誰もが目に留めるだろう。ニック・ ケイヴによるアート作品「サウンドスーツ」からインスピレーションを受けた、マルチカラーのファーコート。今やメンズ・ウィメンズを通じてアイコンの1つになりつつあるマルニのファーだけれど、今シーズンのポップさは特別だ。採用されたのは、そんなロングコートをはじめ、ロングベストにストライプのスカート、バッグといった多彩なアイテム。こうした質感を持ったカラフルさは、アーティスティックなムードを醸し出す。
そんなアートのエネルギーを感じる一方で、ミリタリーからの影響も、見逃せない要素のひとつだ。ロングコートやロングドレスに、ニット、フレアパンツ、ミモレ丈のスカート……。多くのウェアを彩ったのは、濃淡によってバリエーションをもたせた、グリーン系のダークカラー。一見落ち着いた印象ながら、そこはマルニ、単にシックなだけじゃ物足りないとでもいった風に、ファーやビジュー、スパンコールなど分かりやすく“贅沢”なものとミックス。意外性のある、フレッシュなイメージへと昇華させた。
それから今シーズンは特に、構築的なアプローチが光ったシーズンでもあるだろう。ブーツやパンプスは、建物のようにスクエアなチャンキーヒールをポイントにして。ロングコートひとつをとってみても、メンズのテーラード技術を積極的に取り入れ、縦に伸びるはっきりとしたシルエットに仕上げた。そしてフェルト素材のサンダルには、直線的なカットアウトも。さりげないエッジィさをもたらした。