ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME des GARÇONS)が、2015年春夏コレクションをパリで発表した。
「グラフィック・マーチ」と名付けられた今季は、丸や四角といった“図形”に着目しながら、芸術的な要素の強いクリエーションを披露。コンパスや定規で書いたようないくつもの形が、一着の服の中でポップに入り混じる。
コレクションでは、人工的なムードを醸し出すフェイクレザーが要となる。前半は光沢のあるオーガンザに、切り抜いた生地をパッチワークしたピースが登場。服そのものは着用すると当然立体的であるが、フェイクレザーを中心とした厚手素材で装飾されているため、平面的な雰囲気が強調されている。そういった2Dなデザインは全体を通して多く見られ、2枚の厚い生地をシンプルに外側で縫い合わせたショートパンツやスカートが、赤、青、ピンクと鮮やかな発色でランウェイを彩った。
不規則に重なり合う模様から、徐々に幾何学的なデザインへと移り変わる。切り込みを入れたモノトーンの丸い生地を綺麗に並べたり、折り紙のような四角い生地をつなげたり……。折り目のある正方形が連続するイエローのドレスは構築性を備えているほか、円形で構成されたピンクのドレスは、重なる丸い形が幻想的。直線と曲線が、ビビッドな色味の中でグラフィカルに交差する。
その後はTシャツのスリーブに、大きなフェイクレザーを配したトップスが登場。シンプルなボーダーやライダースジャケットがプリントされたものに、丸型やカットされた円型などのフェイクレザーを大胆にあしらった。丸みを帯びたスカート、円型をボブヘアのように見せたヘッドピースもあってか、未来的なキャラクターのような存在感。とびきりアーティな装いを重量感で支えるように、足元はプラットフォームシューズを白ソックスとともに合わせている。
そして後半は、モノトーンがランウェイを支配。引き続きパッチワークを主流としたデコラティブなルックが多いが、ここでは図形をシンプルにプリントで表現した服も見られた。裾をジグザグや波型にカットしたミニ丈と膝下丈のドレスは、薄手素材と首元のシャーリングで、丸みを帯びた巾着のようなデザインだ。ラストはカラフルな図形が複雑に描かれたドレスルックで、今季のコレクションを締めくくった。