フォトコピュー(PHOTOCOPIEU)の2024-25年秋冬コレクションが、2024年3月14日(木)に渋谷ヒカリエ「ヒカリエホール」にて発表された。
東京ファッションウィークへ初参加となったフォトコピュー。今季の着想源は、北欧デザインの巨匠、アルヴァ・アアルトとその妻アイノだ。女性が働くのに多くの障壁があった時代、アルヴァを献身的に支えるアイノの姿に、デザイナー・竹内美彩は心を打たれたという。これを服に置き換えると、それぞれの労働にあったワークウェアは、人々に寄り添う一種の“オートクチュール”と言えるのではないか。
そんな仮説を基に、日常の暮らしの中に埋もれてしまっている美を見つけ出すため、衣服を着る者の職業や性格といった具体的な人物像をイメージした“ペルソナ”に落とし込んだ。「世界のどこかにいる誰かのための服を作る」という竹内の想いをのせた、28体のマネキンを展示するインスタレーションが完成したのである。
竹内が目指したのは、日々の営みで見過ごされてしまったものの可視化。たとえば、ライトベージュのシンプルなセットアップには、透け感のある生地をスカートのように巻き付けたり、腰部分に“まるで枕”のようなフリル付きの布を垂らしている。
また、ヴィンテージ花柄をゴブラン織で施したトップスを着た、毎週水曜日カフェにいるエミリアや、膝にポケットが付いたワークパンツを履く美容師のビルギッタなど、ルックから彼女たちの情景が思い浮かぶ。このような広く大衆的な衣服をインスピレーション源に、ハイエンドな素材を用い、絶妙なバランス感のあるルックを作り上げているのが特徴だ。
生活感のある小物も見逃せない。マネキンたちは、仕事用のトートバッグからカメラ型のショルダー、ワークジャケットのチャームが目を惹くポーチ、買い物の紙袋、カフェでもらったビニール袋まで、暮らしに根付いたアクセサリーを身に着けており、その実在するであろう人物をより身近に感じとることができた。
カラーパレットは、ホワイトやブラック、ダークブラウンといった生活に溶け込むベーシックトーンが主流。そこに立体レースが浮かび上がる赤のニットや胸元にシャーリングを施したロングワンピース、パープルに染め上げたデニムのセットアップなどが彩りを与え、洗練された女性像へと昇華させている。