エスロー(ESLOW)の2023年春夏コレクションが発表された。
砂の粒子が流れるように線条を広げる砂漠、そして青から黒へと階調を織りなす月夜の空──「Desert Peoples」をテーマとした今季のエスローが着想源としたのは、エジプトの写真家カリム・アムル(Karim Amr)の作品だ。砂漠が織りなす光景と夜に誘われるようにして、上品なベージュと深みのあるブルーを両輪としたアイテムを展開する。
春夏らしく涼しげで、どこかエキゾティックなムードを漂わせるコレクションの基底にあるのが、素材の追究だ。たとえば、袖先のタックでドレッシーなアクセントを添えたブルゾンや、縦のラインを意識したワンピースには、オーガニックコットンにキュプラを加えることで、上品さをプラスした。
一方、涼しげに編み上げられたニットには、和紙やレーヨン、コットンを用い、さらりとドライな質感に。また、ワンピースやベストに用いた独特のハリ感を持つ素材は、ナイロンに塩縮加工を施したもの。元来はスポーティな素材ながら、たとえばワンピースでは洗練されたシルエットに仕上げ、心地よい異化効果を加えている。
コレクションは、素材のニュアンスを引き立てて上品にまとめる無地を主体とする一方、大胆な柄もまた華やぎを添える。ジャケットやスカート、ハーフパンツなどに用いたうねるような図案は、砂丘の模様を平面化したもの。京都で手描きに起こしたものを、軽やかな素材へと大胆にプリントした。また、ワッシャータンブラー加工を施すことで涼しげな着心地に仕上げたシャツには、ニュアンスに富んだオンブレチェクをのせている。
2022年秋冬よりユニセックスラインをスタートしたエスローは、今季はよりそのラインナップを充実。涼しげなニットのカーディガンやオリジナルプリントのパンツなど、幅広いアイテムをメンズサイズでも展開する。また、ノーカラーブルゾンは、フロントファスナーや袖先のステッチなどを極力外側に見えないようデザインすることで、リラクシングなサイズ感ながらもミニマムなムードに仕上げている。