ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA) 23-24年秋冬メンズコレクションが、イタリア・ミラノで発表された。
イタリア語で“本質(エッセンス)”の意味を持つ「ESSENZA」をテーマに掲げた今シーズンは、コレクションの要となる素材やボリューム、テーラードカット、プロポーション、そして職人たちの熟練された手仕事へと原点回帰。ブランドが生まれたイタリアの文化遺産の価値を再認識しながら、ハイセンスなデザインを重視したコンテンポラリーなコレクションに仕上げている。
今季のキーカラーとなるのは、極めてシンプルな“ブラック”。毎シーズン、豪華爛漫なモチーフや鮮やかなカラーで、観客の目を楽しませてきたランウェイから一変、単色の世界が会場を席巻する。それはまるで上質な洋服が持つ本来の表情を、より一層浮き彫りにするかのよう。また漆黒に対して、光と影のコントラストを描くかのようにグレーシェードやホワイトを差し込んでいるのも特徴だ。
パレットそのものはベーシックでありながら、ブランドらしい“グラマラス”なムードを感じさせるのは、完璧なカッティングがもたらす多彩なシルエットからだろう。
秋冬の定番となるジャケットやコートは、オーバーサイズやボックス型、シェイプの効いたウエストなど、実に様々。ケープ型のゴージャスな台形のロングコートには、すっきりとしたストレートラインのパンツを、身体ぴったりにフィットする細身のダブルジャケットには、ゆるやかなボトムスをペアにするなど、シェイプに緩急をきかせたスタイルも多く散見された。
またブランドの軌跡を見つめなおすように、過去のコレクションから引用した要素も、現在のエッセンスと絡み合っていく。1999-2000 秋冬メンズ コレクションに登場したガードルやコルセットの構造、ウエストを強調するバンドやサッシュは、マイクロシャツやダブルウエストパンツとペアに。マスキュリンさに、フェミニンな要素が加わることで、不思議とセンシュアルに加速しているようにも感じられる。
コレクション全体を俯瞰してみると、こうしたフェミニンな要素は、素材やカッティングにも現れていて、トーン・オン・トーンのクリスタルが煌めくジャケットやコート、クロップドトップに加え、総レースやシアー素材のトップスなども登場。新しい風を纏ったプロポーションが、単色の世界でより一層引き立てられていた。