企画展「近代の誘惑─日本画の実践」が、静岡県立美術館にて、2023年2月18日(土)から3月26日(日)まで開催される。
企画展「近代の誘惑─日本画の実践」は、明治期から昭和期にかけて制作された日本画を通して、近代という時代によって育まれたその展開を紹介する展覧会だ。
そもそも「日本画」というカテゴリーは、近代化が推し進められる明治期において、「洋画」に対応する言葉として作られたものであった。当時、日本が近代国家として大きく変容してゆくなか、絵画を取り巻く枠組みもまた変化し、再構築されていった。既存の流派の解体や展覧会制度の導入、需要者層の拡大などは、その例だ。そして日本画においても、西洋絵画の学習や、その視点を通じた日本の古典美術の再発見などによって、新たな表現が生まれていったのだった。
本展では、静岡県立美術館のコレクションに個人所蔵の重要作を交えつつ、近代における日本画の諸相を紹介。近代への橋渡しとしての幕末狩野派から、新旧の過渡期ならではの展開を見せた明治期、西洋絵画の学習が深化するとともに、画家の個性が重んじられて多彩な表現が繰り広げられた大正期、独自の洗練を極めた昭和戦前期、そして日本画滅亡論に揺れる戦後期まで、時代とともに変化した日本画の姿をたどってゆく。
会場では、横山大観や竹内栖鳳、渡辺省亭など、近代日本画を代表する画家による作品を紹介。なかでも省亭は、幕末に生まれながらも西洋的な写実表現をいち早く身につけ、繊細な花鳥画を手がけた。本展では、省亭による《十二ヶ月花鳥図》全12幅を一挙に公開する。
また、近代日本画の主流にとどまらない、さまざまな作品も。たとえば、従来の伝統と様式を守ろうとした守旧派は、現代の展覧会で取り上げられることが少ないものの、当時の絵画界においては一定の存在感を示していた。本展では、守旧派の活動にも着目することで、当時の絵画界の多様な側面に光をあててゆく。
企画展「近代の誘惑─日本画の実践」
会期:2023年2月18日(土)〜3月26日(日)
会場:静岡県立美術館
住所:静岡県静岡市駿河区谷田53-2
開館時間:10:00~17:30(展示室への入室は17:00まで)
休館日:月曜日
観覧料:一般 800円(600円)、70歳以上 400円(300円)、大学生以下 無料
※( )内は前売および20名以上の団体料金
※収蔵品展およびロダン館もあわせて観覧可
※団体の申込については美術館総務課へ問い合わせのこと
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所持者および付添者1名は無料
■主な出品作家
狩野雅信、菊池容斎、塩川文麟、狩野芳崖、橋本雅邦、富岡鉄斎、下条桂谷、鈴木松年、川端玉章、小林清親、渡邊省亭、竹内栖鳳、寺崎広業、横山大観、下村観山、川合玉堂、荒木十畝、尾竹竹坡、今村紫紅、近藤浩一路、山元春挙、土田麦僊、村上華岳、吉川霊華、鏑木清方、松岡映丘、安田靫彦、奥村土牛、中村岳陵、福田平八郎、野島青茲、秋野不矩
【問い合わせ先】
静岡県立美術館
TEL:054-263-5755 (代表)