バルマン(BALMAIN)の、2023年春夏ウィメンズコレクションを紹介する。

“再生”ルネサンスに着目

テーマは“再生”を意味する「ルネサンス」。デザイナーのオリヴィエ・ルスタンは、様々な自然災害に直面したフランスの夏を目の当たりにして、今こそ「再生」、そして「変化」が必要な時だと考えた。そして、焦点を当てたのは過去に成し遂げられた変革。社会を大きな変化へと導いた、ルネサンス期の思想や芸術からインスピレーションを得て、その大胆さや美しさをデザインに落とし込んでいる。

彫刻のように構築的なデザイン

目を引くのは、彫刻のように構築的なフォルムのウェア。ラフィアを編み込んでうねるような造形に仕立てたドレスは、身体を拡張し、強調することで優雅なシルエットを描き出した。緻密に編み込まれている部分や、バスケットのように格子状に編み上げたパーツ、切り揃えられた先端部分の繊細な表情を生かしたパーツなど、大胆なフォルムを作り上げる繊細な意匠が目を引く。

またプリーツ生地をたっぷりと使ってギャザーを寄せたり、ロープ状に編み上げるようにして仕立てたドレスや、細かいドレープを重ね、左右非対称にパーツを繋ぎ合わせたセンシュアルなドレスなども登場。細やかなクラフトマンシップが生み出す、緻密な造形とそのエレガントな芸術性が際立っている。

絵画モチーフのドレスやセットアップ

さらに、絵画を全面に落とし込んだ象徴的なウェアも散見された。上品な光沢を携えた分量感のあるドレスやタイトなパンツ、ジャケットなど、多彩なアイテムを、表情豊かで写実的に描かれた絵画が彩る。生地の切り替えや布地の流れに連動して、絵画の中に描かれた人々やモチーフが躍動し、生き生きとした佇まいに。

また、あえて風化した壁画のような質感に仕上げたセットアップや、絵画上に描かれた身体と着用者の身体を重ね合わせたトロンプルイユのドレスなども披露されている。

燃える“火”を投影

コレクション終盤に登場したのは、“火”が燃える様子を投影したウェア。ブラックの生地をベースに、めらめらと燃え盛る炎をあしらい、強い余韻を残す佇まいに仕上げた。下から上に向かってうねるように燃える火の形を、ジャケットの前合わせパーツや、パンツのウエスト、ドレスの裾など、服のフォルムと連動させてレイアウト。炎の躍動感をより一層強調している。