親鸞聖人生誕850年特別展「親鸞─生涯と名宝」が、京都国立博物館 平成知新館にて、2023年3月25日(土)から5月21日(日)まで開催される。
浄土真宗の開祖である、親鸞聖人。1173年京都に生まれ、9歳で出家して比叡山で修行に励んだ親鸞は、29歳で山を下り、浄土宗の開祖・法然上人の弟子となる。親鸞はここで、念仏によってすべての人が平等に救われるという阿弥陀仏の本願念仏の教えにふれることになるものの、法然の教団が弾圧を受けると、親鸞も罪人として僧籍を奪われ、越後への流罪に処せられた。のちに赦免されると、関東で長く布教に励み、やがて京都に戻って多くの著作の執筆と推敲を重ねてゆくことになる。
親鸞の生誕850年に合わせて開催される特別展「親鸞─生涯と名宝」は、国宝11件、重要文化財約70件を含む、過去最大の出陳件数となる親鸞の展覧会。親鸞の求道と伝道の生涯を、自筆の名号や著作、手紙などからたどるとともに、彫像や影像、絵巻など、浄土真宗各派の寺院が所蔵する法宝物を一堂に集めて紹介する。
親鸞は、阿弥陀仏の救いの教えが説かれる浄土三部経(※1)を信仰し、その教えを自らに伝えた先達として、インド、中国、そして日本の7人の高僧(※2)を讃えている。本展の序盤では、親鸞を語るうえで欠くことができない阿弥陀仏と浄土三部経、そして親鸞を導いた7人の高僧に着目。親鸞が浄土三部経のひとつを書写した《観無量寿経註》や、《一尊十二光仏藕糸曼荼羅》などを展示する。
※1 『無量寿経(むりょうじゅきょう)』、『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』、『阿弥陀経(あみだきょう)』の3経典。
※2 龍樹(りゅうじゅ)、天親(てんじん)、曇鸞(どんらん)、道綽(どうしゃく)、善導(ぜんどう)、源信(げんしん)、源空(げんくう、法然のこと)の7人。
親鸞は、自身の生涯について多くは語らなかったものの、三十三回忌にあたる1295年(永仁3年)、ひ孫の覚如(かくにょ)によって親鸞の生涯を描いた絵巻物『親鸞伝絵(でんね)』が制作された。会場では、修理後初公開となる『親鸞伝絵』の最終版《本願寺聖人伝絵》(重要文化財)などとともに、出家から師・法然との出会い、念仏弾圧と越後への流罪、京都での往生、そして親鸞の墓所・大谷廟堂成立まで、90年の生涯をたどってゆく。
親鸞は、阿弥陀仏の救済を人びとに伝えるべく、最晩年に至るまで執筆に励んだ。『教行信証(きょうぎょうしんしょう)』と略される主著『顕浄土真実教行証文類(けんじょうどしんじつきょうぎょうしょうもんるい)』も、そのひとつだ。本展では、その唯一の自筆本である坂東本に加えて、西本願寺本と高田本の3本を初めて一堂に集めて展示するほか、親鸞の手紙、門弟が書写した著作や法語も紹介する。
親鸞の教えは多くの人びとの心を捉え、浄土真宗は一大勢力として大きく発展した。これにともない、法物のほか、多くの名宝が伝来することになる。会場では、京都に伝来する浄土真宗の名宝を紹介。《三十六人家集(忠見集)》など、平安時代の宮廷文化の美意識を伝える古筆や、望月玉泉筆《桜花図》といった京都画壇の画家による障壁画の優品を目にすることができる。
親鸞聖人生誕850年特別展「親鸞─生涯と名宝」
会期:2023年3月25日(土)~5月21日(日) 会期中に一部作品の展示替えあり
会場:京都国立博物館 平成知新館
住所:京都府京都市東山区茶屋町527
開館時間:9:00~17:30(入館は17:00まで)
休館日:月曜日
観覧料:一般 1,800円(1,600円)、大学生 1,200円(1,000円)、高校生 700円(500円)、中学生以下 無料
※( )内は前売料金
※大学生および高校生は学生証を提示
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳の提示者およびその介護者1名は観覧料無料
※会期や展示作品などは変更となる場合あり
【問い合わせ先】
TEL:075-525-2473 (テレホンサービス)