N21(ヌメロ ヴェントゥーノ)の2023年春夏コレクションが発表された。
今シーズンのクリエイションに向けて、N21のクリエイティブディレクター アレッサンドロ・デラクアが着目したのは“Lover(愛人)”という言葉。“Lover”とは本来、<大切な人を深く愛すること><親密な関係性にある人>という愛の形を讃える言葉であるが、現代においては<不倫関係にある愛人>という意味合いを持つ。
そんな考察から生まれた2023年春夏コレクションでは、Loverたちの揺れ動く感情を表現。コレクションピースを通じてモラルとパッション、自由と制限の狭間を生きる彼女たちのドラマチックでエモーショナルなラブストーリーを描き出していく。そこには役を通して多くの女性たちの共感を得てきたモニカ・ヴィッティやアンナ・マニャーニ、ステファニア・サンドレッリといったイタリアを代表する女優たちの姿も投影されている。
散見されたのは、ランジェリーを思わせるサテンのキュロットとブラジャー。いずれも肌が透けて見えるほど薄いシフォンドレスやレーススカートを重ね、その官能的な佇まいを際立たせた。
センシュアルな物語から一見遠いように思われるスーツスタイルにも、今季らしいアレンジを加えて。たとえばタイトなジャケットとスカートのセットアップには、Loverたちの深い愛を思わせる真っ赤なスパンコールをちりばめてドラマチックな印象に。ジャケットの中にはシースルーシャツを忍ばせつつ、あえて着崩すことでセンシュアルな肌見せを実現させた。また本来クリーンな印象を与える白シャツは、あえてシワ加工を施すことで大胆さを感じさせる一着に仕上げている。
カラーは、Loverたちの愛を隠すようなブラックや官能的なヌードカラーを基調としつつ、レッドやピンクといった鮮やかな色味をプラス。終盤で披露されたホワイトのスカートやビスチェは、ビンテージのウェディングドレスを解体・再構築して制作したという。
コレクションに彩りを添えるバッグ&シューズも、充実のラインナップで展開された。スムースレザーまたはパテントレザーのミュールは、ブラック・レッド・ホワイトのカラーで登場。トラペゾイド型のバッグは、スムースレザー、パテントレザー、フェザーの3タイプが揃う。