JW アンダーソン(JW Anderson)の2023年春夏ウィメンズコレクションが発表された。
クリックひとつでイメージを引っ張り出し、自在に拡大、縮小し、組み合わせる平面──コンピューターのディスプレイの謂いだ。今季のJW アンダーソンは、多彩なイメージを気の赴くままに編集できるディスプレイ。たとえばタイトなボディスーツには、さながらインターネットに漂流しているかのようなイルカ、真昼や夕暮れの光に染まるヤシの木のイメージが大胆にのせられている。
ディスプレイの上では、位置も、大きさも向きも自由自在。シワ加工を施したTシャツはオーバーサイズで、フロントには主役さならがにタグをオン。ブラカップはワンショルダーのワンピースに。トップスにはキーボードのキーを散りばめて。タートルネックのニットはその上下を反転。あるいはデニムパンツのウエスト周りは、ノースリーブトップスのスタンドカラーとして組み合わせられている。
衣服はディスプレイであるばかりでなく、確かな実体をも伴っているものの、その素材感ゆえに異化作用をもたらす。魚の姿をプリントしたトップスは、さながらビニール袋を拡大したかのよう。ハンモックを彷彿とさせるネットもワンピースに。さらに、楕円形のオブジェクトを用いたドレスは、その最たる例だといえる。