TOGA(トーガ)の2023年春夏コレクションが発表された。今季は、“SKIN,UNDERWEAR,SPACIOUS”をテーマに、女流写真家・山沢栄子の作品から着想を得たピースを展開する。
山沢栄子は、1920年代のアメリカで写真を学び、その後半世紀以上に渡って日本における女性写真家の草分けとして活躍してきた人物。1970-80年代に手掛けたカラーとモノクロによる抽象写真シリーズ『私の現代』には、当時の日本ではほかに例を見なかった、コンセプチュアルな作品群が収められている。
今季のトーガは、そんな山沢の代表作『私の現代』から色彩を引用。モノクロ写真を思わせる白、黒をベースに、鮮やかなレッドやブルー、グリーンをアクセントとして差し込んでいるのが特徴だ。
散見されたのは、身体のラインを美しく拾うスキンコンシャスなピース。たとえば、透け感のある淡いブルーのニットは、しなやかな光沢のスカートを組み合わせることで、上品かつセンシュアルなムードに。アクセントとなるマルチボーダー柄のブーツも、よく見るとソックスと一体化したスムースな構造になっているのがポイントだ。
ボディスーツは首元を大胆に深く切り込み、ヘルシーに肌見せ。大きく開いたデコルテからはレースのアンダーウェアをちらりと覗かせて、女性らしくエレガントな印象に仕上げている。
しなやかなフィットの中でひときわ目を惹いたのが、身体の形状を超えたアウトラインを描くボリューミーなスカート。構築的な骨組みにより生み出されるバルーンフォルムが、皮膚感覚的なボディスーツと新鮮なコントラストを成しているのが印象的だ。
また、山沢栄子の作品をそのまま投影したルックもお目見え。『私の現代』を象徴する、色鮮やかで抽象画のような写真を、ポケット付きのTシャツやダイナミックな躍動のスカートにプリントした。