企画上映「生誕120年 映画監督 山本嘉次郎」が、東京・京橋の国立映画アーカイブで2022年8月2日(火)から8月28日(日)まで開催される。
山本嘉次郎は、1924年の監督デビューより日本映画の黄金期を支え、ユーモアと詩情をたたえた作風で生涯に90本以上もの作品を世に送り出した映画監督。喜劇王エノケンのミュージカル・コメディや戦後のサラリーマン喜劇、戦記物、カラー作品など、東宝が新たな挑戦をするときにその第1作を監督し、各ジャンルのパイオニアとして活躍した。
後に監督として名を馳せた黒澤明や谷口千吉らを育て、不世出のスター・三船敏郎を見出すなど、日本映画の代表的存在を送り出したことも功績のひとつだ。
2022年は、そんな名監督・山本嘉次郎の生誕120年という節目の年。今回開催される「生誕120年 映画監督 山本嘉次郎」では、現存が確認されている『青春醉虎傳』以降の彼の代表作21作品を厳選して上映し、その偉大な功績を振り返る。
上映作品には、戦前に“エノケン”こと榎本健一と組んで制作したミュージカル・コメディをはじめ、戦後東宝のサラリーマン喜劇の先駆けとなる『ホープさん サラリーマン虎の巻』『坊っちやん社員』などがラインナップ。サイレント時代の喜劇映画にオマージュを捧げて、狂騒的なまでの喜劇を展開する『天才詐欺師物語 たぬきの中の狸』も見逃せない1作だ。
また、劇映画にドキュメンタリーの要素を導入したことも山本嘉次郎のパイオニア的な一面。農村で仔馬の世話をする少女を描いた『馬』や、戦時中の疎開の苦難をテーマにした『風の子』、日本人登山家がマナスルに世界初登頂した際に撮影したフィルムを重厚な人間ドラマとして構成した『標髙8125米 マナスルに立つ』など、当時珍しかったドキュメンタリータッチの映画も観ることができる。
なお、『吾輩ハ猫デアル』、『風の子』、『坊っちやん社員』などの9作品は、ニュープリントを作成して上映する。
【詳細】
企画上映「生誕120年 映画監督 山本嘉次郎」
開催期間:2022年8月2日(火)~8月28日(日)
※月曜日および8月5日(金)・8月6日(土)は休映。
場所:国立映画アーカイブ 小ホール(地下1階)
住所:東京都中央区京橋3-7-6
チケット料金:一般 520円/高校・大学生・65歳以上 310円/小・中学生 100円
※障がい者(付添者は原則1名まで)・国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズ・未就学児は無料。
※国立映画アーカイブHPより、公式チケットサイトで電子チケットをオンライン販売。7月26日(火)以降の毎週火曜日10時に翌週火~日曜日の上映分を発売。
<上映作品>(21プログラム、21作品)
『青春醉虎傳』(1934)、『坊つちやん』(1935)、『エノケンの近藤勇』(1935)、『吾輩ハ猫デアル』(1936)、『エノケンのちゃっきり金太[総集篇]』(1937)、『藤十郎の戀』(1938)、『孫悟空』[前後篇](1940)、『馬』(1941)、『加藤隼戰鬪隊』(1944)、『明日を創る人々』(1946)、『風の子』(1949)、『春の戯れ』(1949)、『ホープさん サラリーマン虎の巻』(1951)、『花の中の娘たち』(1953)、『坊っちやん社員』(1954)、『續 坊っちやん社員』(1954)、『暗黒街』(1956)、『標髙8125米 マナスルに立つ』(1956)、『東京の休日』(1958)、『孫悟空』(1959)、『天才詐欺師物語 たぬきの中の狸』[『天才詐欺師物語 狸の花道』改題](1964)
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)