メアグラーティア(meagratia)は、2022-23年秋冬ウィメンズ&メンズコレクションを発表した。
「Connect with one day」がテーマの今季は、過去、現在、未来の「時間軸」を表現。歩んできた過去を遡り、現在と繋がる古ぼけた風景に思いを馳せる。一瞬ごとに“今”を生きてきた風景の積み重ねを懐かしむことで、新たに見えてくる追憶の鮮やかさと愛おしさを描き、また“今”を重ねながら未来へと向かっていく。
日記帳の色褪せたページをめくる、昔の手紙を読むなど、過去の記憶を辿る時のノスタルジックな要素がデザインの随所に落とし込まれている。灼けたような色味のグレージュのスウェットや、所々白っぽくなっているブラックのブルゾン、色ムラのあるパープルのパンツなど、長い時をともに経てきたかのような色使いが余韻を残す。
また、ジャケットのポケットや、パンツの裾には、封筒を想起させる、糸を巻き付けて留める2つのボタンをオン。クラシカルなバンドカラーの白シャツには、封筒を模したフラップ付きのポケットを配し、さりげない遊び心を効かせた。
メアグラーティアを象徴する“花”は、残像のようにして、その面影のみを投影している。例えば、ドロップショルダーのコートの裾には、砂や点描を思わせる繊細なタッチで花の像を描き出す。像の一部が消えかかっているかのような模様は、徐々に摩耗し、朽ちていく“時の流れ”を思わせる。
また、小花模様をスカラップで表現したシャツも登場。レーザーカットで空間を空けることによりその姿を表現するスカラップという手法は、“確かにそこにあったはずなのに、今はもうない”というような“不在の存在”へのイマジネーションを掻き立てる。
織る、縫う、編む、といった手順を経由して形作られていく、クラフト感も散見されたポイント。感性した衣服の風合い豊かな質感が、“作る”という動作を媒介して、生み出されていくまでの時の経過を物語っているかのようだ。
例えば、シンプルなジャケットの身頃やパンツのサイドにはジャカードテープを配し、ジャケットの襟や袖口、またはグローブには、アーカイブの生地を裂きざっくりと織り込んだディテールを配置。また、温かみのあるジャカードを脚の半分で切り替えたパンツや、規則的にフリンジを施したプレイフルなシャネルツイードのセットアップ、異なる編地を組み合わせたフリンジつきニット、白いステッチが走り、長く残した糸が伸びるトレンチコートなども登場している。