ニードルズ(NEEDLES)の2022年秋冬コレクションは、1950年代後半のニューヨークを彷彿とさせるムードが漂う。多くの人がファッションに自由を感じ始めた過渡期である当時のムードを、ニードルズらしい捻りの効いたオリジナルファブリックをメインに表現していく。
ダマスク柄のヴェルヴェットジャカードや、グラフィカルなチェックパターンなど、それぞれに個性を感じられる仕上がりだ。オパール加工を施したゴールドのヴェルヴェットは、抽象的かつ複雑な模様を形成。温度の違いにより染めの色を変える“におくそめ”という手法のもと、まるでだまし絵のようなファブリックが生み出されている。
トープやブラックなど落ち着いたカラーリングの中で、アメリカンで陽気なモチーフも存在する。セットアップには、スターの総柄があしらわれ、コーチジャケットには、トリコロールカラーのドットプリントが採用された。ケミカルウォッシュによって絶妙に色褪せたコーデュロイジーンズのジャケットとパンツは、ジャケットの襟・肩周りやヨーク部分、パンツのウエストやサイドラインには小さなスタッズが配され、グランジムードの中に陽気な遊び心も感じられる。
ジャケットは1950年代を彷彿とさせるボックス型を軸に。さらに中に着るニットポロや開襟シャツはタックインするのが今季の気分だ。ハイウエストのパンツとのセットアップは、自由なファブリックも相まって、時にフォーマルの概念から逸脱する一幕もある。
また、新しいファブリックが存在感を放つ中、人気のトラックスーツの魅力は健在。今季はより一層豊富な色柄で展開されている。そしてコレクションをさらに楽しくさせるVANS(ヴァンズ)とのコラボレーションによるアシンメトリーなスリッポンにも注目だ。
過去の服を現代に蘇らせるライン「リビルド バイ ニードルズ(REBUILD by NEEDLES)」もより存在感を増すラインナップ。リフレクタースプレーをかけたドッキングのフランネルシャツや、フリースをドッキングしたアランニット、リップストップ生地を使って再構築したハリスツイードのジャケットなど、ひとつとして同じものはない同ラインの強みに、面白みと奥行きに磨きがかかった。