ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY) 2014年春夏コレクションは透明さと不透明さを併せ持ち、控えめかつ魅力的。
ショー序盤、軽やかでフェミニンなテーラリングが光るなか、ディテールは力強いマスキュリンなタッチ。そんな序盤のムードは、ステラの得意とする魅惑的なスタイルを強調する一つの要素となる。コレクション後半で一際映える、ボディラインを描き出す柔らかなレースや花柄が咲き誇る美しいドレスがその証拠だ。
ボディコンシャスなカップスリーブのニットとスタイリングされたミディスカートには、途中で太ももをちらりと見せるスリットを入れ、そこから裾までシルクオーガンザで切り替えすことでメリハリを。メンズライクな丸首のインナーやスポーティなサンダルでほど良く着崩されたスーツスタイルや、ジップのアクセントがエッジィな凛としたセットアップからは男性的な要素が伺える。ジオメトリックなキャッツアイサングラスがそんなメンズライクなスタイリングを一層引き締めた。
今シーズンを象徴するモチーフはクロコとデイジー。これらのモチーフを前半と後半に分けて使い、コレクション全体に緩急つけた。胸元が大きく開いた薄いオーガンザのドレスに、クロコモチーフをアップリケで落としこめば淡い透明感が生まれ、シルクデボアにあしらったデイジー柄のサテンドレスをロングジャケットと合わせれば、アーバンな印象を醸し出す。
首を通すための襟を袖として腕を通したような、逆に袖に首を通したようなデザインのドレスがラストを飾る。フェミニンとマスキュリン、植物であるデイジーと動物であるクロコダイルなど、ステラの思う女性像が対比表現によって明確に表現されたコレクションとなった。