重要文化財指定記念特別展「鈴木其一・夏秋渓流図屏風」が、東京の根津美術館にて、2021年11月3日(水・祝)から12月19日(日)まで開催される。
鈴木其一(すずき きいつ)は、江戸時代後期の絵師だ。江戸琳派の祖・酒井抱一の高弟であり、徹底した写実主義と鋭い造形感覚、ときに幻想的なイメージを交え、個性的な作品を手がけた。
其一の作品の多くは江戸琳派風に収まるものの、2020年に重要文化財に指定された《夏秋渓流図屏風》は、そこから逸脱するものだといえる。渓流が流れる檜の林を描いたその画面は現実感がありながら、粘り気のある金の細線が走る渓流、溶け落ちるかのような緑の斜面、大きすぎる百合、そして単純化された熊笹といった奇妙な表現に溢れる同作は、其一の異色作となっている。
特別展「鈴木其一・夏秋渓流図屏風」では、其一の代表作にして異色作である《夏秋渓流図屏風》誕生の秘密に着目。酒井抱一や尾形光琳の影響はもちろん、円山応挙や谷文晁、古い時代の狩野派などの画風を取り込み、自然の実感に基づきつつそれらを統合する其一の制作態度に光をあてる。
会場では、《夏秋渓流図屏風》とともに、この作品へとつながる作品を紹介。師である抱一の光琳イメージを反映する《青楓朱楓図屏風》や、自然が織りなす一瞬の表情を描いた抱一の代表作《夏秋草図屏風》(重要文化財)、円山応挙による生涯最後の大画面作品であり、《夏秋渓流図屏風》と共通した画面構成を持つ《保津川図屏風》(重要文化財)、繊細な描写で醒めた画面を構成した谷文晁の《檜蔭鳴蝉図》などを展示し、《夏秋渓流図屏風》の「奇想」的な表現を美術史的にひもといてゆく。
重要文化財指定記念特別展「鈴木其一・夏秋渓流図屏風」
会期:2021年11月3日(水・祝)〜12月19日(日)
会場:根津美術館 展示室1・2
住所:東京都港区南青山6-5-1
休館日:月曜日
開館時間:10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
入館料:一般 1,500円(1,300円)、学生 1,200円(1,000円)、中学生以下 無料
※オンラインでの日時指定予約制(10月29日(金)より美術館ホームページにて受付)
※( )内は障害者手帳提示者および同伴者1名の料金
※オンライン日時指定予約の定員に空きがある場合のみ、当日券(一般1,600円)を美術館受付にて販売
■日時指定予約制
・来館希望時間帯の2時間前までに根津美術館ホームページ上にて日時指定券を購入(クレジットカード決済のみ)
・根津倶楽部会員、招待はがきを所持していて入館無料の場合も予約が必要
【問い合わせ先】
根津美術館
TEL:03-3400-2536 (代表)