東京の練馬区立美術館では、展覧会「収蔵作品による 小林清親展【増補】─サプリメント─」を、2021年11月23日(火・祝)から2022年1月30日(日)まで開催する。
明治期を代表する浮世絵師であり、“最後の浮世絵師”とも呼ばれる小林清親。淡く明るい色調に光や影、天候や時間をも表現した東京名所シリーズは「光線画」と呼ばれ、人気を博した。その後も戦争画や歴史画、風刺画、戯画などを幅広く手がけ、明治生まれの若い芸術家にも大きな影響を与えた。
練馬区立美術館では2015年に、小林清親の生涯をたどる展覧会を開催。これを機縁に、清親の作品や資料、遺品類約300件の寄託を受けることになった。そこには、「小林清親写生帖」として知られ、清親の光線画の源泉となったスケッチブック、未公開の下図や肉筆画なども含まれている。展覧会「収蔵作品による 小林清親展【増補】─サプリメント─」では、そうした未紹介・未公開の貴重な作品や資料を一挙公開する。
本展では、清親を象徴する光線画から、《高輪牛町朧月景》や《第二回内国勧業博覧会表口》といった優品を紹介するばかりでなく、創作の源泉となったスケッチブックと下絵も公開。清親は、スケッチブックに鉛筆や水彩絵具によるスケッチを描き、これに基づいて木版画を制作するという、江戸の浮世絵師には見られなかった方法で「光線画」を手がけていた。会場では、スケッチブック全9冊とともに、東京風景を描いた水彩画を展示し、近代画家としての清親の姿に光をあてる。
光線画の出版を終えた清親は、「武蔵百景」シリーズでは東京の名所を、「日本名勝図会」では日本各地の名所を描いているが、いずれも途中で出版が途絶えている。本展では、出版されなかった「日本名勝図会」の下絵とも考えられる《上州榛名神前杈鉾岩》など、初公開となる水彩画を紹介。また、かつてモノクロ図版でのみ紹介された『アラビ アンナイト』の物語を描いた作品も目にすることができる。
清親の肉筆画は当時から人気を集めており、数多くの作品を残している。新聞挿絵や風刺画を得意とした清親らしく、肉筆の戯画がもっとも好まれていたという。本展では、そうした戯画に加えて、特別な注文主からの依頼に応えた立雛の掛軸も展示する。
展覧会「収蔵作品による 小林清親展【増補】─サプリメント─」
会期:2021年11月23日(火・祝)〜2022年1月30日(日)
会場:練馬区立美術館 2階展示室
住所:東京都練馬区貫井1-36-16
休館日:月曜日(1月10日(月・祝)は開館)、12月29日(水)〜1月3日(月)、1月11日(火)
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
観覧料:無料
【問い合わせ先】
練馬区立美術館
TEL:03-3577-1821