2004年よりフィレンツェのピッティ・ウォモでコレクションを発表してきたエンジニアド ガーメンツ(ENGINEERED GARMENTS)。2014年春夏コレクションから形式・発表場所を変え、ニューヨークにてブランド初ランウェイショーで発表した。注目のショーを見ようと、会場のネペンテス ニューヨーク(NEPENTHES NEW YORK)には、ヨーロッパをはじめ各国から多くのプレス関係者やバイヤーが駆けつけた。
デザイナー鈴木大器のクリエイションの根幹にあるのはサーフやワーク、ミリタリー、アメリカンといったスタイル。今回はそこに、ヒッピーやサイケデリックの要素をプラス。一際存在感を放ったそれらをイメージした柄は、セットアップやシャツ、チュニック、エプロン、ストール、ハットなどにあしらわれている。70年代を思わせる鮮やかな色合いや、柔らかくしなやかな素材を用いて温かい囲雰気に仕上げた。
また、実用的かつスタイリッシュなデザインも健在。さらに、緻密に計算されたポケットの位置など、着る者を楽しくさせるディテールへの心配りは、エンジニアド ガーメンツの真骨頂、今回のコレクションでも引き継がれている。そのほか、服作りへの情熱を感じる細かいパッチワークジャケットや、手の込んだリボンストライプのシャツ、リバーシブルのジレなど、大人の遊び心が詰まったこだわりのアイテムには要注目だ。
ショーは終始無音で、カメラのシャッター音だけが鳴り響く。会場には、どこか荘厳な雰囲気さえ漂った。このような魅せ方を選んだ理由は、「きっちりと服を見てもらう」ため。流れる音楽もファッションショーで注目を集める演出の1つだが、そこをあえて無音というミニマルな形にすることで、観客の集中力をより「服」へと向かわせた。さらに、しっかりと見てもらうために、モデル達はゆっくりとした歩調でウォーキング。無音のショーのラストを飾ったのは、それまでの静寂を破る盛大な拍手。服作りにかける思いが現れ出た、エンジニアド ガーメンツらしいショーとなった。