ケイタ マルヤマ(KEITA MARUYAMA) 2021-22年秋冬コレクションテーマは、「Spirits from 《Shangri-La》」。人々や文化が東へ西へ行き交う、チベットのさらに奥地に位置するという桃源郷《Shangri-La》をインスピレーション源に、ほんのりフォークロアな空気を差し込んだコレクションピースを展開する。
コレクションを紡ぐ物語の主人公となるのは、伝統文化と深い信仰を持つ民族として生まれた《Shangri-La》出身のプリンス&プリンセスだ。今は都会に住むファッショニスタなふたりだが、自分たちのルーツを大切にする彼らのファッションは、様々な要素がミックスしているのが特徴。フォークロアなムードと、伝統的な気品、そしてさりげないモダンさを加えた“クチュール グランジ”スタイルを楽しんでいるようだ。
目を惹くのは、ドラゴンや獅子など、今季のムードにふさわしい架空のモチーフをあしらった幻想的なテキスタイル。柔らかなアイボリーをベースにしたステンカラーコートには、ベーシックかつ端正なカッティングを採用することで、この生地が持つ絵柄の魅力をより一層アップ。また首回りを覆うボア襟には、ヒョウ柄を差し込んだことで、現代的なエッジさもプラスしている。
フォークロアなムードたっぷりのカウチンニットは、こうした架空のモチーフだけでなく、仏陀のモチーフを大胆に描いたバックデザインも印象的。遊び心を詰め込んだブランドらしい表情ながら、ハンドメイドならではの高度な技術も感じられるハイクオリティな一着でもある。スタイリングは、センタープレス入りのスッキリとしたパンツを合わせることで、緩急のあるシルエットを演出。足元にはレザーシューズを差し込むことで、都会的なムードにも引き寄せている。
ハッと目に留まる艶やかなフラワー柄のドレス。これは、ケイタ マルヤマのクリエーションに大きな影響を与え続けたケンゾー(KENZO)の今は亡きデザイナー・⾼⽥賢三にオマージュを捧げて制作したものだ。
80年代のケンゾーのコレクションでよく用いられたという、繊細な羊毛使用のウールシャーリーには、⼿捺染で鮮やかな花々をプリント。ふんわりとしたアーム、キュッとウエストを絞ったギャザーをたっぷりのスカートはドリーミーでありながら、シンメトリーなヘムラインがヴィンテージな空気ももたらしている。
そして今季のコレクションは、久々となるメンズアイテムも多く登場している。ユニセックスデザインのフーディーは、“ブッダ アイ”モチーフをブランドらしいポップな配色で楽し気にプリント。ヴィンテージ感のあるトラックパンツは、異素材を差し込んだこだわりのデザインと、抜群の動きやすさを叶えた機能的な一着でもある。